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「郷土〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

郷土の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
路上」より 著者:芥川竜之介
ら読んで行っても、そう云う実際方面の消息はほとんど一句も見当らなかった。その代り郷土の自然だの生活だのの叙述が、到る所に美しい詠歎的な文字を並べていた。磯山《い....
或る女」より 著者:有島武郎
。ことに東京生まれといってもいいくらい都慣れた言葉や身のこなしの間に、ふと東北の郷土の香《にお》いをかぎ出した時にはかんで捨てたいような反感に襲われた。葉子の心....
白蟻」より 著者:小栗虫太郎
たようにみえる建物があった。 それは、一山支配《ひとやましなべ》当時の遺物で、郷土館であったが、中央に高い望楼のある母屋を置いて、小さな五つあまりの棟がそれを....
母子叙情」より 著者:岡本かの子
行く。そんな気持だった。けれども、かの女は帰国しなくてはならない。かの女は元来、郷土的の女であって、永く郷国の土に離れてはいられなかった。旅費も乏しくなった。逸....
貝の穴に河童の居る事」より 著者:泉鏡花
で、ありあわせたこの雀を買ったのがはじまりで、笛吹はかつて、麻布辺の大資産家で、郷土民俗の趣味と、研究と、地鎮祭をかねて、飛騨、三河、信濃の国々の谷谷谷深く相|....
神鷺之巻」より 著者:泉鏡花
五 神巫たちは、数々、顕霊を示し、幽冥を通じて、俗人を驚かし、郷土に一種の権力をさえ把持すること、今も昔に、そんなにかわりなく、奥羽地方は、特....
土俗玩具の話」より 著者:淡島寒月
美を含んでいるのである。 地方|僻遠の田舎に、都会の風塵から汚されずに存在する郷土的玩具や人形には、一種言うべからざる簡素なる美を備え、またこれを人文研究史上....
わが妻の記」より 著者:伊丹万作
、あつても買えなくなつてしまつた。 妻の料理の中で最もうまいのは、何といつても郷土風のちらし寿司である。季節は春に止めを刺すので、材料はたい、にんじん、たけの....
ルネ・クレール私見」より 著者:伊丹万作
ようである。事実、彼の仕事がパリ下町ものの系列以外に出なかつたならば、彼は一種の郷土詩人に終つたかもしれない。すなわち公平なところ、彼が一流の地位を獲得したのは....
東京文壇に与う」より 著者:織田作之助
美に憧れてはならない。われわれの国の固有の伝統と文明とは、東京よりも却って諸君の郷土に於て発見される。東京にあるものは、根柢の浅い外来の文化と、たかだか三百年来....
雪柳」より 著者:泉鏡花
って、不断この仕事があるわけではないので、亜流の職人が手間取にこしらえる。一種、郷土玩具の手頃な獅子があって、素材づくりはもとより、漆黒で青い瞳、銀の牙、白い毛....
私の履歴書」より 著者:浅沼稲次郎
しかしこれらの流罪名士の中の英雄はなんといっても源為朝であろう。わたくしの友人で郷土史研究家の浅沼悦太郎君が『キミが国会で力闘しているのは為朝の血を引いているか....
彼等流浪す」より 著者:小川未明
こにも、正義の国というものは見出されなかった。正義のみの村落、もしくは、美のみの郷土というものは、探し出されなかった。たとえば、人間に共通した真理はある。理想は....
新童話論」より 著者:小川未明
要約するに、現実に立脚した、奔放|不覊なる、美的空想を盛り、若しくは、不可思議な郷土的な物語は、これを新興童話の名目の下に、今後必ずや発達しなければならぬ機運に....
純情主義を想う」より 著者:小川未明
、興味、感情、思想等を標準とし、普遍性を指標とするを特色とする。勿論その中には、郷土的色彩のあるものもあるけれど、要するにそれ等の認識、発見に目的があるのでなく....