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酌婦
「酌婦〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
酌婦の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「あらくれ」より 著者:徳田秋声
還るとも還らぬとも決らずに、話がぐずぐずになる事が多かった。
「御父さんは、私が
酌婦にでもなっているものと思っているのでしょう」
お島はそうも言って笑った。
....
「酒中日記」より 著者:国木田独歩
もせず、唯だ意外という顔付き、その風《ふう》は赤いものずくめ、どう見ても居酒屋の
酌婦としか受取れない。母の可怕い顔と自分の真面目《まじめ》な顔とを見比べていたが....
「田舎教師」より 著者:田山花袋
農の家にはいって、主人と細君とをしばり上げて金を奪って行った話、繭の仲買いの男と
酌婦と情死した話など、聞けば聞くほど平和だと思った村にも辛い悲しいライフがあるの....
「灯明之巻」より 著者:泉鏡花
、この時に当って、人事に属する、赤いものと言えば、読者は直ちに田舎娘の姨見舞か、
酌婦の道行振を瞳に描かるるであろう。いや、いや、そうでない。 そこに、就中巨大....
「ある女の生涯」より 著者:島崎藤村
生として世話したのも、しばらくこの地方に居て教員生活をした時代だった。旦那がある
酌婦に関係の出来たのもその時代だ。その時におげんは旦那の頼みがたさをつくづく思い....
「母の上京」より 著者:坂口安吾
ゝかも思はず、近頃では昼夜家をあけることが多く、焼跡の蒲鉾小屋のやうなオデン屋で
酌婦をやつたり、闇屋のアンちやんに頼まれて売子をやつたり、時々金はもつてくる。金....
「生活と一枚の宗教」より 著者:倉田百三
育った令嬢というようなものは、きたないところにゆきますと、その令嬢は普通のそこの
酌婦のようなものよりも非常に苦しみます。その苦しむのは確かに心が高尚であるからで....
「水鬼」より 著者:岡本綺堂
年であることを認められるにもかかわらず、妹は媚かしい派手づくりで、僕等の町でみる
酌婦などよりは遥かに高等、おそらく何処かの芸妓であろうと想像されることであった。....
「怪獣」より 著者:岡本綺堂
ている此の旅館の娘たちとはどうしてもうけ取れない。そこらの曖昧茶屋に巣くっている
酌婦のたぐいよりも醜い。天草あたりから外国へ出稼ぎする女たちよりも更に醜い。くど....
「茶屋知らず物語」より 著者:岡本かの子
も揃って斯ういう娘さんがたを持たれた御主人は親御としてさぞ嬉しいことであろうな」
酌婦をすっかり此の家の令嬢と思い込んでしまったのでありました。この一言に、四郎兵....
「不在地主」より 著者:小林多喜二
本管理人の宅へ引き上げた。そこで水入らずの「酒盛」を始めた。H町からは、自動車で
酌婦が七、八人やってきた。――皆は夜明け近く迄騒いでいた。
酌婦達はその夜帰らなか....
「飛騨の怪談」より 著者:岡本綺堂
て騒いでいましたよ。」 「若い者には困るな。」と、安行も共に笑いながら、「あれは
酌婦だろう。何という名だ。」 「たしかお葉と云いました。」 「お葉か。忠一が今度....
「空中征服」より 著者:賀川豊彦
ますか? 」 「それはもし、故人が実に博愛の人でありまして、下情に通じ、芸娼妓、
酌婦に致るまで故人の慈悲に浴しているということをしばしば承わりましたので、そうお....
「春心」より 著者:田中貢太郎
でいて、生暖かな物悩ましい日であった。左側の川崎屋の入口には、厨夫らしい壮い男と
酌婦らしい島田の女が立って笑いあっていたが、厨夫らしい壮い男はその時広巳の姿を見....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
った空地には木羽葺の休憩所が一つ見えていた。まだ接待の準備もつかないらしく、若い
酌婦風の女が一人二人、風に吹かれて、対岸の遠いポプラや白樺のかがやきを見入ってい....