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「配り〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

配りの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
」より 著者:芥川竜之介
彩《ちんさい》は、獲物を見つけた猟犬《りょうけん》のように、油断なくあたりへ気を配りながら、そっとその裏門の前へ歩み寄った。が、裏門の戸はしまっている。力一ぱい....
妖婆」より 著者:芥川竜之介
、二人の間に腰を据えて、大きく蛇の目をかざしていた泰さんは、左右へ当惑そうな眼を配りながら、それでも声だけは元気よく、「おい、しっかりしなくっちゃいけないぜ。お....
誘惑」より 著者:芥川竜之介
にはトランプが一組。そこへ男の手が二つ現れ、静かにトランプを切った上、左右へ札を配りはじめる。 23 前の洞穴の内部。「さん・せばすちあん」は頭を垂....
婦系図」より 著者:泉鏡花
大切な母親が、あいにく病気で、さしたる事ではないが、推してそういう場所へ出て、気配り心扱いをするのは、甚だ予後のために宜しからず、と医家だけに深く注意した処から....
追憶」より 著者:芥川竜之介
一 答案 確か小学校の二、三年生のころ、僕らの先生は僕らの机に耳の青い藁半紙を配り、それへ「かわいと思うもの」と「美しいと思うもの」とを書けと言った。僕は象を....
春の潮」より 著者:伊藤左千夫
かい、そんならえいけど」 母は入れた茶を夫のと娘のと自分のと三つの茶碗についで配り、座についてその話を聞こうとしている。 「おとよ、ほかの事ではないがの、お前....
深夜の市長」より 著者:海野十三
の実に狭い路地があった。 「此処だナ。――」 僕は決心すると、あたりに充分気を配りながら、徐ろに奥の方へ這入っていった。 「一イ、二ウ、三イ。……三つ目の窓だ....
地獄街道」より 著者:海野十三
を通りぬけた。まだ空は薄明るかったが、いい気持はしなかった。 辻永は左右へ眼を配りながら、黙々と歩いてゆく。 そのうちに、あたりはいよいよ暗くなってきた。ど....
奇賊悲願」より 著者:海野十三
ら抜けて来た的矢貫一に違いなかった。うまそうに紫煙をすいこんでから、あたりに気を配り、それから手を上衣の内ポケットへ入れたと思うと、すぐ引出した手に、月があたっ....
地獄の使者」より 著者:海野十三
非常にまどろっこしい。彼は臆病に近いほど、あらゆる事物に対して気を配る。その気の配り方も、警部ならちらりと一目見ただけで事件に関係があるかないかが分るのに、長谷....
火薬船」より 著者:海野十三
だって出てこられないはずはないのだがと、岸隊長はどこまでも、こまかいところへ気を配りつつ訊問にかかった。 「本船のせきは、日本か中国か」 「もちろん日本でござい....
照葉狂言」より 著者:泉鏡花
木槿垣に行く途、まず一人物干棹をもて一文字に遮り留む。十手持ちたるが引添いて眼を配り、顱巻したるが肩をあげて睨め着くる。その中にやさしき顔のかの烏帽子|被れる児....
式部小路」より 著者:泉鏡花
で差出した手首は、綻びた袖口をわずかに洩れたばかりであるが、肩の怒りよう、眼の配り、引手繰そうに見えたので。返事と、指図と、受取ろう、をほとんど三人に同時に言....
卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
あの饅頭だの、羊羹だの、餅菓子だのを組合せて、婚礼や、お産の祝儀事に註文さきへお配りなさいます。」 「へい、へい。」 「あの、能の葛桶のような形で、青貝じらしの....
活人形」より 著者:泉鏡花
森なので、風通しは宜うございますが、こんな時には、ちとどうも、と座敷の四隅に目を配りぬ。 泰助は思い当る事あれば、なおも聞かんと亭主に向い、「談してお聞かせな....