酒気[語句情報] » 酒気

「酒気〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

酒気の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
」より 著者:芥川竜之介
を引き立てるためにも常談《じょうだん》を言わずにはいられなかった。が、従兄の弟は酒気を帯びた目を血走らせたまま、演説でもしているように話しつづけた。それは実際常....
或敵打の話」より 著者:芥川竜之介
その翌日、甚太夫は急に思い立って、喜三郎に蘭袋を迎えにやった。蘭袋はその日も酒気を帯びて、早速彼の病床を見舞った。「先生、永々の御介抱、甚太夫|辱《かたじけ....
お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
から間《ま》もない後《のち》の事だった。黒絽《くろろ》の羽織をひっかけた、多少は酒気もあるらしい彼は、谷村博士と慇懃《いんぎん》な初対面の挨拶をすませてから、す....
将軍」より 著者:芥川竜之介
うのでも、敬礼だけでは売りはしめえ。」 田口一等卒は口を噤《つぐ》んだ。それは酒気さえ帯びていれば、皮肉な事ばかり並べたがる、相手の癖に慣《な》れているからだ....
妖婆」より 著者:芥川竜之介
「はい。」と云ったぎりしばらくは涙を呑んだようでしたが、もう一度新蔵が虹のような酒気を吐いて、「御取次。」と云おうとすると、襖《ふすま》を隔てた次の間から、まる....
夜行巡査」より 著者:泉鏡花
う」 という声濁りて、痘痕《とうこん》の充《み》てる頬骨《ほおぼね》高き老顔の酒気を帯びたるに、一眼の盲《し》いたるがいとものすごきものとなりて、拉《とりひし....
婦系図」より 著者:泉鏡花
丹の花のような若いのも、一所に三人で路地の角まで。 「お互に辛抱するのよう。」と酒気のある派手な声で、主税を送ったのは綱次であった。ト同時に渠は姉さんと、手をし....
吉原新話」より 著者:泉鏡花
。が、黒繻子の引掛け結びの帯のさがりを斜に辷る、指の白さも、団扇の色の水浅葱も、酒気の無い、寂しい茶の間に涼し過ぎた。 民弥は寛ぎもしないで、端然としながら、....
渾沌未分」より 著者:岡本かの子
っとしていられない悲しい精力が眠気を内部からしきりに小突き覚ました。傍で寝ている酒気を帯びた父の鼾が喉にからまって苦しそうだ。父は中年で一たん治まった喘息が、ま....
木の子説法」より 著者:泉鏡花
袴を穿いたのが、さも歓迎の意を表するらしく気競って言った。これは私たちのように、酒気があったのでは決してない。 切符は五十銭である。第一、順と見えて、六十を越....
人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
日時計のついた噴泉が虹をあげ、風は樹々をうごかし、花弁は楽の音にゆすられる。彼は酒気をさまそうと、ぽつねんと亭にいたのだ。 (セルカークの奴、この辺じゃなかなか....
貞操問答」より 著者:菊池寛
いようなどとは、さすがの夫人も思いがけないことだった。だが、この頃前川氏が、時々酒気を帯びて家に帰って来ることを、それに照し合わせると、良人と新子とを掩う膜が、....
光は影を」より 著者:岸田国士
つたらしく、それ以来、母との間にも気まずい口争いがしばしばみられるようになつた。酒気をおびて夜おそく帰つて来る父を、母は冷たく迎えた。 が、こうなると、京野等....
式部小路」より 著者:泉鏡花
握拳、元気かくのごとくにしてかつ悄然たり。 「ほんとうに真面目ねえ、ああ、そう、酒気のない処で、ちと算盤でも持せて弱らしてやろうかな。」 と莞爾と笑み、はじめ....
フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
本、直指の型だ。 だが、その翌朝になると、何か会っても鼻じろんだ、それがまた、酒気に乗って来ると、そら、また、「一万円。」である。 ところで、此方だが、うっ....