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酒甕
「酒甕〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
酒甕の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「虞美人草」より 著者:夏目漱石
―やあ、とうとう煙草盆へ火を入れましたね。なるほど」 「どうだ祥瑞は」 「何だか
酒甕《さかがめ》のようですね」 「なに煙草盆さ。御前達が何だかだって笑うが、こう....
「坑夫」より 著者:夏目漱石
を切り広げたもので、上と下がすぼまって、腹の所が膨《ふく》らんでいるから、まるで
酒甕《さかがめ》の中へでも落込んだ有様である。あとから分った話だが、これは作事場....
「夢十夜」より 著者:夏目漱石
ものであった。 敵の大将は、弓の真中を右の手で握って、その弓を草の上へ突いて、
酒甕《さかがめ》を伏せたようなものの上に腰をかけていた。その顔を見ると、鼻の上で....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
につれて、壁の上方から層をなした埃が摺り落ちてくる。室内の調度は、寝台の側に大|
酒甕形の立|卓笥があるのみで、その上には、芯の折れた鉛筆をつけたメモと、被害者が....
「ルバイヤート」より 著者:小川亮作
で行った―― お前もそんなにされるのだ! 68 なんでけがれ*がある、この
酒甕に? 盃にうつしてのんで、おれにもよこせ、 さあ、若人よ、この旅路のはてで ....
「神話と地球物理学」より 著者:寺田寅彦
水池を連想させる。熔岩流がそれを目がけて沢に沿うておりて来るのは、あたかも大蛇が
酒甕をねらって来るようにも見られるであろう。 八十神が大穴牟遅の神を欺いて、赤....
「日輪」より 著者:横光利一
っている。見よ、長羅、彼方の女は子を胎んだ冬の狐のように太っている。」 饗宴は
酒甕から酒の減るにつれて乱れて来た。鹿は酔い潰れた若者たちの間を漫歩しながら酢漿....
「黒点」より 著者:豊島与志雄
っかり何か饒舌っちゃいけないよ。」と母も云った。 それから母は、台所の縁の下の
酒甕のことをしきりに気にしだした。そんなことじゃないと父が云っても、母は始終その....
「立札」より 著者:豊島与志雄
した。 そして河岸の広場に、互にまじり合って集り、火が焚かれ、豚や鶏が灸られ、
酒甕の口が開かれ、賑かな夜宴が、寒夜野天の下で始まりました。苦力たちがみな、腕に....
「次郎物語」より 著者:下村湖人
変らない親しさで遊んだりすることもしばしばだったが、そうしたことは、所詮、過去の
酒甕からしたたって来る雫のようなもので、彼の注意が一旦明日のことに向けられると、....
「次郎物語」より 著者:下村湖人
は、何かに驚いたようにお祖母さんの顔を見上げた。それから、そろそろと視線を売場の
酒甕の方に転じたが、その眼はしだいに冷たい悲しげな光を帯び、最後に、さっき自分が....
「宮本武蔵」より 著者:吉川英治
たちは、煙にばかり晦んでいたので、酒のにおいを感じなかったが、そういわれて、 「
酒甕に酒をたんと貯めてあるのは、村長の家しかねえが」 と、いい合った。 賊は....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
のといえなくもない。 なにしろ男女ともみな泥酔した。この宵、妓家の蓄えの大きな
酒甕は、幾壺をカラにしたことか。 しかも、灯を見ると、道誉は、ひょろけもせずに....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
に。そして、その武蔵ノ時名へ、 「時名。寺中には、蓄えの酒もあろう。ありったけの
酒甕をここへ運び出させろ」 と、いいつけた。 歴代の菩提寺である。客院用の酒....
「木綿以前の事」より 著者:柳田国男
樽を結ぶ技術は、近世に入るまでは都会でも知られていなかった。 酒はそれ以前には
酒甕の中で造っていた。『更級日記』の文にも見えているように、その甕は土中に作り据....