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酔いどれ
「酔いどれ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
酔いどれの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
の、猪熊《いのくま》のばばもまた、畜生より、無残なやつだ。こう思ったおれは、あの
酔いどれのおやじの顔を見るたびに、何度|太刀《たち》へ手をかけたか、わからない。....
「或る女」より 著者:有島武郎
近々と鼻先にあらわれていた。はっと身を引く暇もなく、葉子の肩はびしょぬれになった
酔いどれの腕でがっしりと巻かれていた。
「葉子さん、覚えていますかわたしを……あ....
「アッシャー家の崩壊」より 著者:佐々木直次郎
ない震え声(活気がまるで無いように思われるときの)から急に、酔いつぶれてしまった
酔いどれや手のつけられぬ阿片喫煙者などの極度の興奮状態にあるときに認められるよう....
「白妖」より 著者:大阪圭吉
ハイカラな奴が……いったいなに様だろう?」 「箱根の別荘から、熱海へ遠征に出た、
酔いどれ紳士かなんかでしょう」 運転手が投げ出すように云った。 「追馳けてみよ....
「獄中記」より 著者:大杉栄
等検挙さる」とかいう事々しい見だしで、僕等が酔っぱらって吉原へ繰りこんで、巡査が
酔いどれを拘引しようとする邪魔をしたとか、その
酔いどれを小脇にかかえて逃げ出した....
「世界怪談名作集」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
二、三人の水夫が船べりへ出て来て、海の洞にひらめく水神の淡紅色の肩か、楯を持った
酔いどれの人馬が波を蹴立てて船と競走するのかを見るような気で、透き通る紺碧の海を....
「明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
特権を独占するためであった。彼は他の船員をアゴで使って料理に立働かせ、自分は終日
酔いどれていた。そして他の船員が酒や特別の食物を所望する場合には、金銭でなければ....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
わない。二ヵ月前には私も、これと同じ物語を大胆にも私に話したその男を、気ちがいか
酔いどれのように侮蔑した。そうして、二ヵ月前には私は印度でも一番の仕合わせ者であ....
「地虫」より 著者:小栗虫太郎
ど話が分るよ。オイ、東京市橋梁課のお役人、ふ、舟を出せ」 その男は、再びもとの
酔いどれ口調に返って、襟を立てながら渡舟のなかに蹌踉き込んだ。巡査は、なにか得体....
「ふるさとに寄する讃歌」より 著者:坂口安吾
いていた。冬にシベリヤの風を防ぐために、砂丘の腹は茱萸藪だった。日盛りに、螽※が
酔いどれていた。頂上から町の方へは、蝉の鳴き泌む松林が頭をゆすぶって流れた。私は....
「安吾人生案内」より 著者:坂口安吾
と手記を持ってきました。 この話は身につまされるね。私に限ったことではないが、
酔いどれどもは一読ゾッとわが身のごとく肝を冷やし、つづいてゲタゲタ笑いだすところ....
「可能性の文学」より 著者:織田作之助
統そのものが美術工芸的作品に与えられているから、そのアンチテエゼをやっても、単に
酔いどれの悔恨を、文学青年のデカダンな感情で告白した文学青年向きの観念的私小説と....
「豆腐買い」より 著者:岡本かの子
風な酒店の入口にビールの新酒の看板が出る。夜町の鋪道は急に賑い出す。その名ごりの
酔いどれの声が十二時過ぎになって断続して消えかかろうとする頃いつも加奈子の家の軒....
「審判」より 著者:カフカフランツ
いるのは、なんという顔どもなのだろう! 小さな黒い眼があちこちと視線を配り、頬は
酔いどれたちのようにだらりと垂れ、長い髯は剛くてまばらで、それに手を突っこむと、....
「宝永噴火」より 著者:岡本かの子
それが、しつこくうるさいので、見物のなかでたしなめた者があったのを、相手欲しやの
酔いどれ士は、忽ち目くじら立てて立ち上り、掴みかかろうとする。それを宥める者、よ....