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酔い心地
「酔い心地〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
酔い心地の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
らしいて」
そういって葉子の首を固くかきいだいた。葉子は倉地の言葉を酒のように
酔い心地《ごこち》にのみ込みながら「あなただけにそうはさせておきませんよ。わたし....
「母」より 著者:太宰治
酒でも、野葡萄《のぶどう》の酒でも、リンゴの酒でも、いろいろ工夫《くふう》して、
酔い心地のよい上等品を作る。たべものにしても同じ事で、この地方の産物を、出来るだ....
「ルバイヤート」より 著者:小川亮作
ああ手あらにふるうのかえ! 60 朝風に薔薇の蕾はほころび、 鶯も花の色香に
酔い心地。 お前もしばしその下蔭で憩えよ。 そら、花は土から咲いて土に散る。 ....
「灰色の記憶」より 著者:久坂葉子
する時は、殊に遠い温室のある花屋まで買いに行った。私は、むっとする強い花の香りに
酔い心地になって、いろんな幻想を思い起した。そんな時、母は必ず、 「ボビ、どのお....
「華々しき瞬間」より 著者:久坂葉子
婚なさいませんの」 仁科たか子は、こんなことを云ってわるいのかしらと思ったが、
酔い心地で、南原杉子に恍惚としながら、おずおず云ってしまった。 「お杉は、結婚な....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
。快活に叫び散らし、立ち上がって、冷水の盥《たらい》に頭をつき込んだ。それで少し
酔い心地からさめた。黙ってぼんやり微笑を浮かべながら、テーブルのところにもどって....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
うっとりとなって、もう自分の痛む背骨や病弱な魂をも感じなかった。彼はぼんやりした
酔い心地の幸福に浸っていた……。 ――温かい光よ、われわれのために明日輝き出す....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
炉のようになって一時にあらゆるかおりを放つ。すべてが笑いのぞき出す。人は穏やかな
酔い心地になる。初夏は仮りの楽園である。太陽は人の心をものびやかにする。
そし....
「渡舟場」より 著者:豊島与志雄
別れました。送別のささやかな酒宴のため、老若男女によって多少の差はあれ、誰もみな
酔い心地でいました。それが、河岸だけで別れる口実となりました。口実である以上、他....
「裏切り」より 著者:坂口安吾
って、わるくはなかったのです。死の崖にいる切なさや逞しさも時に青い山を見るような
酔い心地を与えてくれることがありました。それは一瞬にすぎ去る感傷にすぎませんが、....
「イオーヌィチ」より 著者:神西清
――そして彼は、この力ない虚ろな希望に身も心もまかせ切って、そのおかげでうっとり
酔い心地になってしまった。 ものの四、五町ほど彼は野道を歩いた。墓地ははるか彼....
「光は影を」より 著者:岸田国士
情のあらわれとはみえなかつたが、解放の自覚と、安堵の堰から流れ出る、おのずからな
酔い心地であつた。 やがて、顔をコタツ蒲団の上に伏せると、彼女は低く呟いた。 ....
「決闘」より 著者:神西清
た。暑さと静けさと、いつか五体に行きわたった快い食後の睡気に誘われて、ぐったりと
酔い心地なのだ。彼の両手はだらりと下がってしまった。眼は細くなり頭は胸に垂れ落ち....
「はつ恋」より 著者:神西清
な天気や、さわやかな空気や、さっさと歩く快さや、茂った草の上にひとり身を横たえる
酔い心地や――そうしたものの方が勝ちを占めてしまった。あの忘れられぬ言葉のふしぶ....
「ロザリオの鎖」より 著者:永井隆
たり、電蓄で雑音のないモーツァルトを聞いたりしばらく清談に時を過ごした。 快い
酔い心地で二人はうちへ帰った。帰ってみるとわが家のみすぼらしさにいまさらのごとく....