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酔歩
「酔歩〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
酔歩の前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「夜行巡査」より 著者:泉鏡花
個の年紀《とし》少《わか》き美人はその同伴《つれ》なる老人の蹣跚《まんさん》たる
酔歩に向かいて注意せり。渠《かれ》は編み物の手袋を嵌《は》めたる左の手にぶら提灯....
「春の枯葉」より 著者:太宰治
その女の影法師は、じっと立ったまま動かぬ。外は夕闇。 国民学校教師、野中弥一、
酔歩蹣跚の姿で、下手より、庭へ登場。右手に一升瓶、すでに半分飲んで、残りの半分を....
「口笛を吹く武士」より 著者:林不忘
夫が庭で相手取った一人に、青竹の先に百目蝋燭をつけたのを、寝巻のえり頸へさして、
酔歩蹣跚《すいほまんさん》と立ち向った大柄な武士があって、かなり腕の利く男だった....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
と思って見直すと、提灯持をそこに置きはなして、自分はもう前へ進んで、橋の詰の方へ
酔歩蹣跚《すいほまんさん》として行く姿が見える。その主《ぬし》も酔っているが、提....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
ました。 「おのれ、逃がしては」 神尾主膳は、さしおいた伯耆の安綱の刀を持って
酔歩蹣跚《すいほまんさん》として、逃げて行くお銀様の後を追いかけました。 梯子....
「豊島与志雄著『高尾ざんげ』解説」より 著者:太宰治
って、善人と言われるほど大いなる苦痛は無いのではないかと思われる。そこで、深夜の
酔歩がはじまる。水甕のお家をあこがれる。教養人は、弱くてだらしがない、と言われて....
「オランウータン」より 著者:豊島与志雄
派な堂宇、稲荷様の本社だ。 或る夜おそく、もう二時……丑三つに近い頃、ふらりと
酔歩をはこんでくると、祈祷所の中から、何やら呟く声が聞える。立止って耳を澄ませば....
「魔都」より 著者:久生十蘭
諸君、試みに四年前の記憶を辿ってごらんなさい。昭和十年一月二日の午前三時半ごろ、
酔歩蹣跚として、新橋から山手へ帰ろうとされた方々、あるいは、タキシーによって銀座....
「顎十郎捕物帳」より 著者:久生十蘭
わせ》を着流しにしたいいようす。 それはいいが、歩きっぷりがすこぶる妙なので。
酔歩|蹣跚《まんさん》といったぐあいに肩から先に前のめりになってヨロヨロと二三歩....
「三国志」より 著者:吉川英治
赤くのぼっていた。 ときに、荊州の大将たちの席から、突如、魏延が立ち上がって、
酔歩|蹌踉と、宴の中ほどへ進み出で、 「せっかくの台臨を仰ぎながら、われわれ長途....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
日頃の酒友か何ぞのように、 「愛い奴。あははは」 「愛い君。ははは」 と、共に
酔歩を愉しんで行く影を眼のまえに見て少なからず驚いたのだ。 武士は道誉なのであ....