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酔漢
「酔漢〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
酔漢の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「世相」より 著者:織田作之助
うていて、雁次郎横丁という呼び名がまるで似合わないわけでもない。ポン引が徘徊して
酔漢の袖を引いているのも、ほかの路地には見当らない風景だ。私はこの横丁へ来て、料....
「西湖の屍人」より 著者:海野十三
て立ちあがった。彼は私の耳許で囁いた。 コートの襟を立て、巻煙草を口にくわえた
酔漢が二人、腕を組みあって、ノッシ、ノッシと、袋小路に紛れこんだ――勿論、帆村と....
「間諜座事件」より 著者:海野十三
いいが拳固を振り下ろすところを、ヒラリと転わされて、 「ぎゃーッ」 と叫ぶと、
酔漢は舗道の上に、長くのめった。 弦吾と同志帆立とは、
酔漢の頭を飛び越えると足....
「蠅男」より 著者:海野十三
その夜、道頓堀をブラついていた人があったら、その人は必ず、今どき珍らしい背広姿の
酔漢を見かけたろう。 その
酔漢は、まるで弁慶蟹のように真赤な顔をし、帽子もネク....
「ルバイヤート」より 著者:小川亮作
更に百年を生きていたとてなんになろう? (104) 地の青馬にうち跨っている
酔漢を見たか? 邪宗も、イスラム*も、まして信仰や戒律どころか、 神も、真理も、....
「見えざる敵」より 著者:海野十三
がて陽は西に傾き夜の幕が降りて、いよいよ夜の全世界と化した光景、さては夜も更けて
酔漢と、彼の手下どもが徘徊する深夜の光景に至るまで、大小洩れなく、南京路の街頭を....
「東京要塞」より 著者:海野十三
って来たというのだろうか。 本願寺裏の掘割ぞいの鋪道の方へ、ふらふらと千鳥足の
酔漢がとびこんで来た。 「うーい、いい気持だ。な、なにもいうことはねえや。天下泰....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
いや、いや、私が聞いただけでも、何か、こうわざと邪慳に取扱ったようで、対手がその
酔漢を労るというだけに、黙ってはおられません。何だか寝覚が悪いようだね。」 「え....
「菎蒻本」より 著者:泉鏡花
乗掛って、ひょいと取る。 鼻の前を、その燈が、暗がりにスーッと上ると、ハッ嚔、
酔漢は、細い箍の嵌った、どんより黄色な魂を、口から抜出されたように、ぽかんと仰向....
「南地心中」より 著者:泉鏡花
許は、ふらつくばかり危まれたが、対手が、しゃんと来いの男衆だけ、確に引受けられた
酔漢に似て、擦合い、行違う人の中を、傍目も触らず饒舌るのであった。 「時に、それ....
「犬」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
たった一度人が彼に憫みを垂れたことがある。それは百姓で、酒屋から家に帰りかかった
酔漢であった。この男は目にかかる物を何でも可哀がって、憐れで、ああ人間というもの....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
るに至りては、愚にあらずんば正に冒涜である。われわれの側から観れば、かの堕落せる
酔漢の類こそ、不良霊媒以上の精神異常者である。彼等が出入する不潔な場所こそは、字....
「可能性の文学」より 著者:織田作之助
能性の文学という大問題について、処女の如く書き出していると、雲をつくような大男の
酔漢がこの部屋に乱入して、実はいま闇の女に追われて進退|谷まっているんだ、あの女....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
居ますが、僧侶の少し学識ある者がこのネーチュンに対して、彼は気狂いである、彼は爛
酔漢である、国家を害する腐敗の動機であるとこういって、いつも蔭では悪口ではない、....
「世間師」より 著者:小栗風葉
時にはもう銭占屋はその中にいなかった。女房の姿も見えなかった。 喧嘩もすんで、
酔漢どもがやっと二階へ引揚げたのは夜の八時ごろ、いずれも泥のようになってすぐ寝た....