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「酔眼〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

酔眼の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
一夕話」より 著者:芥川竜之介
》を吐いても、一の小えんを尊びたいんだ。 「君たちはそう思わないか?」 和田は酔眼《すいがん》を輝かせながら、声のない一座を見まわした。が、藤井はいつのまにか....
或る女」より 著者:有島武郎
すばやく目でさえぎった。女将はあぶない土端場《どたんば》で踏みとどまった。倉地は酔眼を女将に向けながら、 「何」 と尻《しり》上がりに問い返した。 「そう早耳....
忠直卿行状記」より 著者:菊池寛
を注ぐという単調な仕事を、幾回となく繰り返しているだけである。 忠直卿は、ふと酔眼をみひらいて、彼に侍座している愛妾の絹野を見た。ところが、その女は連夜の酒宴....
夜行巡査」より 著者:泉鏡花
りたり。コハ身を投ぐる! と老人は狼狽《うろた》えて、引き戻さんと飛び行きしが、酔眼に足場をあやまり、身を横ざまに霜を辷《すべ》りて、水にざんぶと落ち込みたり。....
心臓盗難」より 著者:海野十三
て酒をあおっていた。袋猫々が入って来たのを愕きもせず、不思議がりもせず、朦朧たる酔眼の色をかえもせず、依然として酒を浴びるように口の中へ送っている。 「おい烏啼....
暗号の役割」より 著者:海野十三
彼はそれを拾いあげて、常夜灯の下まで持っていって改めた。このとき彼の眼は、もう酔眼ではなかったが、全く見覚えのない鞄であった。彼はその鞄を元の場所へ置くために....
太平洋魔城」より 著者:海野十三
なかった。太刀川は、引立てられた。 リーロフ大佐は、それでもあきらめかねたか、酔眼をこすりながら、太刀川のそばに近づくと、たくましい腕をふりあげて、太刀川をな....
露肆」より 著者:泉鏡花
と立合いの肩へ遠慮なく、唇の厚い、真赤な顔を、ぬい、と出して、はたと睨んで、酔眼をとろりと据える。 「うむ、火事知らずか、何を、」と喧嘩腰に力を入れて、もう....
阿Q正伝」より 著者:井上紅梅
違っていた。確かにはなはだ驚異の値打があった。 空の色が黒くなって来た時、彼は酔眼朦朧として、酒屋の門前に現われた。彼は櫃台の側へ行って、腰の辺から伸した手に....
天草四郎の妖術」より 著者:国枝史郎
がりましたが、 「ややこれは迂濶千万。出し放しとは気がつかなかった」斯う云い乍ら酔眼を拭り、皿や火鉢を取り上るとポンポン口の中へ抛り込みましたが、最後に娘を引き....
名人地獄」より 著者:国枝史郎
ございますな?」「これか」というと要介は、膝の上へひろげていた例の図面へ、きっと酔眼を落としたが「いやこれは偶然からだ。……実は便船を待ちながら、木更津の海辺を....
娘煙術師」より 著者:国枝史郎
て来て、起きられないようにおさえつける。立ったり立ったり頑丈に立ったり」――で、酔眼を憤らしくあけたが、その眼の前に躑躅の叢が円らかにコンモリと茂っていて、花が....
山吹」より 著者:泉鏡花
たよた)はッ、静御前様。(急に恐入ったる体にて、ほとんど土下座をするばかり。間。酔眼を鯉に見向く)やあ、兄弟、浮かばずにまだ居たな。獺が銜えたか、鼬が噛ったか知....
三枚続」より 著者:泉鏡花
がね、背後で団扇車ってやつをくるくるとやってました、洗髪だし、色は白し、」 と酔眼を※って苦い顔で、 「庭の植木からは雫が溢れます、袂だの、裾だの、その風でそ....
フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
私は伝えた。M氏は庄亮のお父さんの永年の乾分だと自身をしきりに私に知らしていた。酔眼|朦朧としていられた。 「何処で飲んだのだい。」と私は庄亮をふり返った。 「....