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酔興
「酔興〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
酔興の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「星座」より 著者:有島武郎
だった、その奇怪な世界の中に柿江を誘っていったのは。おそらく彼は何んの意味もない
酔興から柿江をそこに連れていったのだろう。しかし柿江にとっては、この上もない迷惑....
「義血侠血」より 著者:泉鏡花
わけで」 「わけも何もありはしない、ただおまえさんに仕送りがしてみたいのさ」 「
酔興な!」と馭者はその愚に唾《つば》するがごとく独語《ひとりご》ちぬ。 「
酔興さ....
「支倉事件」より 著者:甲賀三郎
る当時警視庁の官房主事をしていた庄司氏を訪ねて、援助を乞うた。庄司氏も事柄が高が
酔興の失敗位だったので、その際の警察の署長に話してやって、学生を放免させた。 ....
「古狢」より 著者:泉鏡花
り。お山の妙見堂の下を、たちまち明るい廓へ入って、しかも小提灯のまま、客の好みの
酔興な、燈籠の絵のように、明保野の入口へ――そこで、うぐいの灯が消えた。 「....
「楢重雑筆」より 著者:小出楢重
女郎の仕事も手伝ってもいいでしょう。 けれどもそれもただ何かの余興とかあるいは
酔興でやるのはいいが、本心でやっているのを見ると少し嫌味でたまらないという気がす....
「首頂戴」より 著者:国枝史郎
ろう」 「成程」と今度は判ったらしい。「敵討ちでないとしますると、何処かの大通が
酔興のあまり……」 「その見立ても中らないな」総髪の武士蹴飛ばしてしまった。「い....
「地虫」より 著者:小栗虫太郎
のように、稲野谷が三伝だなんて云うんじゃ、私がいま、ここに竦んでいるのが、とんだ
酔興ってことになるよ」 左枝は、杜絶れた言葉の間に、相手の顔の動きを凝っと見詰....
「仇討姉妹笠」より 著者:国枝史郎
を醒まそうとして、通り掛かった山岸主税が、 「や、これはご家老様にはお八重殿にご
酔興なそうな。アッ、ハッ、ハッ、お気の毒千万、そのお八重殿とわたくしめとは、夫婦....
「光は影を」より 著者:岸田国士
。なぜ、こんなに急がねばならぬのか? 以前、学生の頃、一度神田から、友人と二人で
酔興に高円寺まで歩いてみたことがある。三時間あまりかゝつた。戦場での、あの強行軍....
「剣侠」より 著者:国枝史郎
本日参上いたしましたところ、江戸へ参ってご不在との御事。と、いつもの悪い癖が――
酔興とでも申しましょうか、悪い癖がムラムラと起こりまして、少しく無礼とは存じまし....
「春」より 著者:岡本かの子
の病人を引き取って居られるんですね。 と巡査は帰りがけに加奈子に、それは如何にも
酔興だと言うような、また如何にも感服したというようにもとれる口の利き方をして行っ....
「遍路」より 著者:斎藤茂吉
であるが、今はこういう山道を越える者などは殆ど絶えて、僕らのこの旅行などもむしろ
酔興におもえるのに、遍路は実際ただひとりしてこういう道を歩くのであった。遍路をそ....
「空中征服」より 著者:賀川豊彦
いつまでも働かせるとよいのになア」 松島は大声でこんなことを言うた。 「それも
酔興だんなア」 島がそれに呼応した。 「そしたら結局は、市長の政策を是認するわ....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
、村はずれを、人の気もない山へ山へと練り出した、そこで遭遇した私たちだったのだ。
酔興だとも思えるが、流石に原生林の中の寂しい生活者の姿である。 「ストップ」と誰....
「雨」より 著者:織田作之助
らか豹一はその後、巴里楼にしげ/\と通った。随分苦面もして通うのであるから、勿論
酔興ではなかったが、しかし何故通うのか自分の心を覗いて見ても分らなかった。惚れて....