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酣
「酣〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
酣の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「桶狭間合戦」より 著者:菊池寛
九日義元|討捕刻彼所持刀、裏には織田尾張守信長と刻込まれて仕舞った。義元の酒宴|
酣である頃信長の兵は田楽狭間を真下に見る太子ヶ根の丘に在った。田楽狭間は桶狭間へ....
「大阪夏之陣」より 著者:菊池寛
を天王寺附近と定め、城中諸将全部出でて東軍を誘致して決戦し、一隊をして正面の戦|
酣なる時迂回して背後を衝かしめんとした。 幸村茶臼山に陣し、毛利勝永は天王寺南....
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
たのは、定まった悪人というものが、この世にないということであった。 裾野の春は
酣であった。 ある日甚太郎は黐棹を担ぎ、春の裾野を歩いて行った。 一所に櫟の....
「奇賊悲願」より 著者:海野十三
身汗をかいて奔走している名探偵の袋猫々との何時果てるともなき一騎討ちは、今もなお
酣であった。 その満々たる自信家の烏啼天駆が、こんどばかりは困り果ててしまった....
「神秘昆虫館」より 著者:国枝史郎
。窓から花の香が馨って来る。早春などとは思われない。汗ばむほどに暖かい。どうでも
酣《たけなわ》の春のようだ。 「それに致しても」と小一郎は不審《いぶか》しそうに....
「開扉一妖帖」より 著者:泉鏡花
て、すなわち連獅子に骨身を絞ったというのに――上の姉のこのお妻はどうだろう。興|
酣なる汐時、まのよろしからざる処へ、田舎の媽々の肩手拭で、引端折りの蕎麦きり色、....
「血ぬられた懐刀」より 著者:国枝史郎
行けるであろう。 その野路をあてもなく、秋安は西の方へ彷徨って行く。 季節は
酣の春であった。四條の西壬生の壬生寺では、壬生狂言があるというので、洛内では噂と....
「鴉片を喫む美少年」より 著者:国枝史郎
附記) 友よ、今日は「鴉片を喫む美少年」の事について消息しよう。 鴉片戦争も
酣となった。清廷の譎詐と偽瞞とは、云う迄もなくよくないが、英国のやり口もよくない....
「雪柳」より 著者:泉鏡花
は十四五の時、目のあたり知っている。草の中に切株ばかり朽ちて残った。が、年々春も
酣になると、おなじ姿の陽炎が立つといいます。むかし享保頃、ここに若い人の、きれい....
「二階から」より 著者:岡本綺堂
彼は人間の滅亡を予告するように高く嘶いているのではあるまいか。 遼陽の攻撃戦が
酣なる時、私は雨の夕暮に首山堡の麓へ向った。その途中で避難者を乗せているらしい支....
「砧」より 著者:上村松園
とともに、恨みの砧打つとかや、衣に落つる松の声/\、夜寒を風やしらすらん」 秋
酣の、折しも円らかなる月のさし出づるころで都にある夫を想いながら空の一角を仰いで....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
と花嫁と夫婦の語らいが確定した事を意味して居る礼式なんです。
花聟と花嫁は宴|
酣に至らずして外の室に移されてしまう。この始めの酒宴で日本のように三々九度という....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
ままであることを喜ぶ。) 別にシドニー客中所感の小詩一首あり。 看昨、客庭秋已
酣。 (花見の時節に故国を去り、五月には豪州の南部に至った。春の夜の夢は昨日のよ....
「古事記」より 著者:太安万侶
た時に、この國の人民のシジムの家の新築祝いに參りました。そこで盛んに遊んで、酒|
酣《たけなわ》な時に順次に皆舞いました。その時に火焚《ひた》きの少年が二人|竈《....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
よろよろになってようやくに後から後から蹤いて去るのだ。ああ、だが、今は今は歓楽の
酣である。 同じく海豹島は砂浜の南端、群棲場の光景。 哀れなるかな、激烈なる....