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酪
「酪〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
酪の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「泥濘」より 著者:梶井基次郎
のと同じという答えが出たりする。有楽町で途中下車して銀座へ出、茶や砂糖、パン、牛
酪《バター》などを買った。人通りが少い。ここでも三四人の店員が雪投げをしていた。....
「冬の日」より 著者:梶井基次郎
「何をしに自分は来たのだ」 彼はそれが自分自身への口実の、珈琲《コーヒー》や牛
酪《バター》やパンや筆を買ったあとで、ときには憤怒のようなものを感じながら高価な....
「ネギ一束」より 著者:田山花袋
苦しく思った。で、お作もその身の食物を求めるよりもまず赤児の乳を尋ねまわった。乳
酪を買う銭がないので、隙をつぶして、あっちこっちと情け深い人の恵みを求め歩いた。....
「食魔」より 著者:岡本かの子
ではない。埃及のカタコンブから掘出した死蝋であるのか、西蔵の洞窟から運び出した乾
酪の屍体であるのか、永くいのちの息吹きを絶った一つの物質である。しかも何やら律動....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
だ」
「なるほど」と検事は皮肉に笑って、「五月になれば、林檎の花が咲き、城内の牛
酪小屋からは性慾的な臭いが訪れて来る。そうなれば、なにしろ亭主が十字軍に行ってい....
「虎媛」より 著者:田中貢太郎
の中へ毒を入れて待っていた。何も知らない焦生は、窈娘の室へ来て見ると、旨そうな酥
酪があるので口にしようとした。窈娘は急いでその手をおさえた。 「すこし待ってくだ....
「踊る地平線」より 著者:谷譲次
ずる「階級」の仕事だから、今度はさかんに「略取」する。無産の室代八|留。無産の牛
酪一|片――厚さ二分弱一寸四方――五十|哥――牛乳――とよりも些さか牛乳に似た冷....
「踊る地平線」より 著者:谷譲次
ドに変ず。自己ならびに過去を語るを好み、向上心に乏しく、安逸と独逸風のビールと乾
酪をむさぼる。人を見ると名刺をつき出し、署名を求める癖あり。皮膚赤く、髪白く――....
「踊る地平線」より 著者:谷譲次
それに、いうところの国民文化の高い国だけに何もかもが智的――智的な牛乳と智的な乾
酪、智的な玉子と智的な――とにかく、ながらく表面から忘れられていた種族が、近代産....
「踊る地平線」より 著者:谷譲次
した。 『わっら! ムシュウ。ほら、あすこに、そばへ寄るときっとラックフォルト乾
酪と酸菜のにおいのしそうな、伯林ドロティン・ストラッセ街から来た紳士がいるでしょ....
「二都物語」より 著者:佐々木直次郎
歩兵の桝型帽、それもずいぶんの桝目のもの★のような、あるいは大きなスティルトン乾
酪★のような、実に驚くべき帽子をかぶっているということを、ロリー氏があわてている....
「香熊」より 著者:佐藤垢石
と期待していたのだ。熊掌料理は支那の料理書によると豹胎、鯉尾、龍肝、鳳髓鶚炙、酥
酪蝉、狸唇の七種を加えて周の八珍と称しているが、その料理法について木下謙次郎は、....
「魔味洗心」より 著者:佐藤垢石
構だ。妻沼橋あたりで釣れる三、四寸に育ったものは、塩焼きがよい。塩蒸しもよい。牛
酪で焼いて冷羹をかけて洋箸で切れば、味聖も讃辞を惜しまぬであろう。 数年前まで....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
らぬ者は一人もございませぬ。懇意な人たちが餞別であるといって蕎麦、パン、マル、乾
酪、乾桃、中にはカタと銀貨をくれた者も四、五名ございました。その日の午後三時頃二....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
。何という雑草の青の新鮮さ。海はまたかぎりなく明るかった。やや紅と金とを交えた牛
酪いろの一面のはるばるしい漣であった。いよいよ夕凪だなと、私は私の船室の方へ、穏....