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「酷い〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

酷いの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
婦系図」より 著者:泉鏡花
なって、 「酷、酷うござんすね……旦那、ア痛々、」 も一つ拳で、勝誇って、 「酷いも何も要ったものか。」 哄と立上る多人数の影で、月の前を黒雲が走るような電....
海異記」より 著者:泉鏡花
引いて、 「何にもいわねえや、蠅ばかり、ぶんぶんいってまわってら。」 「ほんとに酷い蠅ねえ、蚊が居なくッても昼間だって、ああして蚊帳へ入れて置かないとね、可哀そ....
貝の穴に河童の居る事」より 著者:泉鏡花
ぽっぽ――髷の鬢を撫でつけますよ。女同士のああした処は、しおらしいものですわね。酷いめに逢うのも知らないで。……ぽう、ぽっぽ――可哀相ですけど。……もう縁側へ出....
草迷宮」より 著者:泉鏡花
て、自からその愚さを恥じて、客僧、御身にも話すまいが、や、この方実は、もそっと手酷い試をやった。 あるいは大磐石を胸に落し、我その上に蹈跨って咽喉を緊め、五体....
歌行灯」より 著者:泉鏡花
砂が黄色い。月は雲の底に淀りしている。神路山の樹は蒼くても、二見の波は白かろう。酷い勢、ぱっと吹くので、たじたじとなる。帽子が飛ぶから、そのまま、藤屋が店へ投返....
女客」より 著者:泉鏡花
しろ、家の焼けた年でしょう。あの焼あとというものは、どういうわけだか、恐しく蚊が酷い。まだその騒ぎの無い内、当地で、本郷のね、春木町の裏長屋を借りて、夥間と自炊....
唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
踏越えて、少々|平な盆地になった、その温泉場へ入りますと、火沙汰はまた格別、……酷いもので、村はずれには、落葉、枯葉、焼灰に交って、※子鳥、頬白、山雀、鶸、小雀....
黒百合」より 著者:泉鏡花
んなら、盗賊が遁込んだようじゃから、なぞというて、叩き起して周章てさせる。」 「酷いことを!」 島野は今更のように多磨太の豪傑|面を瞻った。 「何に其等はほん....
梵雲庵漫録」より 著者:淡島寒月
夜店商人が使う蝋燭は、主に柳橋の薩摩蝋燭といって、今でも安いものを駄蝋という位、酷いものだが、それを売りに来る男で歌吉というのがあった。これがまた、天性の美音で....
化鳥」より 著者:泉鏡花
んだそうで、お亡んなすった、父様とこの母様とが聞いても身震がするような、そういう酷いめに、苦しい、痛い、苦しい、辛い、惨酷なめに逢って、そうしてようようお分りに....
火星の芝居」より 著者:石川啄木
『戯言じゃないさ。そのうちに目が覚めたから夢も覚めて了ったんだ。ハッハハ』 『酷い男だ、君は』 『だってそうじゃないか。そう何年も続けて夢を見ていた日にゃ、火....
初雪」より 著者:秋田滋
ことを考えた。良人にはどうしてあんなことが云えるのだろう。なんぼなんでもあんまり酷い――。 「お前はここへ来てから、ただの一度だって風邪をひいたことが無いじゃな....
河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
ながら、心配して、冷飯を粥に煮てくれました。けれども、それも、もう通らない。……酷い目に逢いました。 横腹を抱えて、しょんぼりと家へ帰るのに、送って来た友だち....
三枚続」より 著者:泉鏡花
って客の金之助は仰向けに目を瞑る。 愛は小指のさきで耳朶をちょいと掻いて、 「酷いなあ、親方。」 「まあそういった形よ、人情は同一だから、」 「何が人情、」 ....
式部小路」より 著者:泉鏡花
ある。 愛吉は、握太な柄を取って、べそを掻いた口許を上へ反らして、 「こりゃ、酷いや、」 「おや、お世話様でございますね。」 と女房は格子を開け、 「貴女、....