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酷寒
「酷寒〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
酷寒の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「狂言の神」より 著者:太宰治
た。有夫の婦人と情死を図ったのである。私、二十二歳。女、十九歳。師走《しわす》、
酷寒の夜半、女はコオトを着たまま、私もマントを脱がずに、入水《じゅすい》した。女....
「冬の蠅」より 著者:梶井基次郎
のように私を圧迫した。狂人のような悶《もだ》えでそれを引き裂き、私を殺すであろう
酷寒のなかの自由をひたすらに私は欲した。 こうした感情は日光浴の際身体の受ける....
「恐怖城」より 著者:佐左木俊郎
1 暗黒の中に、不気味な沈黙がしばらく続いた。死のような夜更けの
酷寒に締めつけられて凍《し》み割れる木材の鳴き声が、冷気を伴ってときどきぴゅんぴ....
「人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
ik-suah”グリーンランド中部高原の北緯七十五度あたり、氷河と峻険と猛風雪と
酷寒、広茫数百の氷河を擁する未踏地中のそのまた奥。そこに、字義どおりの冥路の国あ....
「運命」より 著者:幸田露伴
る者也。 年は新になりて建文二年となりぬ。燕は洪武三十三年と称す。燕王は正月の
酷寒に乗じて、蔚州を下し、大同を攻む。景隆師を出して之を救わんとすれば、燕王は速....
「李陵」より 著者:中島敦
しかし、李陵には滑稽や笑止《しょうし》には見えなかった。想像を絶した困苦・欠乏・
酷寒・孤独を、(しかもこれから死に至るまでの長い間を)平然と笑殺していかせるもの....
「日常身辺の物理的諸問題」より 著者:寺田寅彦
外気が冷えるのと戸外への輻射とのために、窓のガラスに一面に水滴を凝結させる。冬の
酷寒には水滴の代わりに美しい羽毛状の氷の結晶模様ができる。おもしろいことには、水....
「宝島」より 著者:佐々木直次郎
は大して構わずにいた。 一月の或る朝、ごく早い頃のことであった。――刺すような
酷寒の朝で、――入江は一面に霜で真白になっており、漣は静かに磯の石ころを洗い、太....
「夏」より 著者:寺田寅彦
クライヴ伝を講じていて、ブラックホールの惨劇が一同の記憶に新鮮であったのである。
酷寒の季節に酷暑に遭った例がある。高等学校時代のある冬休みに大牟田炭坑を見学に行....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
た。恐ろしい赤い獄衣を着ていた。ただ恩典としては、酷暑の折りに麻のズボンをつけ、
酷寒の折りに毛織の短衣を背中に引っ掛けることだけだった。「労役」に行く時のほかは....
「運命のSOS」より 著者:牧逸馬
客は、寒暖計の水銀が面白い程収縮して往くのには気がついても、この、こうして急激に
酷寒が襲って来た理由を知っているのは、前に同じ季節に大西洋を渡った経験を有つ極く....
「「太平洋漏水孔」漂流記」より 著者:小栗虫太郎
、稀獣|矮麟を追い、麝牛をたずね、昼なおくらき大密林の海綿性湿土をふみ、あるいは
酷寒水銀をくさらす極氷の高原をゆくうちに、知らず知らず踏破した秘境魔境のかずかず....
「ムツェンスク郡のマクベス夫人」より 著者:神西清
も割りこめさえしたらいい、いや焼けつくような炎暑の日だろうと、ぴりぴりするような
酷寒の日だろうと、窓の下でさえ結構がまんするが、とにかく音程がいかに歌いこなされ....
「生不動」より 著者:橘外男
の方へしゃがんで掌を合せていた君太郎に促されて、私もようやく座敷へ戻って来たが、
酷寒北海道の真夜中はおそらく零度を五、六度くらいは下っていたろうと思われる。 ....
「言語と文化史」より 著者:知里真志保
態と考えていたことが明らかになるし、氷をノーマルな状態と考えることは、彼等が永く
酷寒の地に住みなれて、北方人の心になりきっていたことを示すものであります。 彼....