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酷暑
「酷暑〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
酷暑の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「畜犬談」より 著者:太宰治
乱暴な決意は、逆立ちしたってなしえなかったところのものなのであったが、盆地特有の
酷暑《こくしょ》で、少しへんになっていた矢先であったし、また、毎日、何もせず、た....
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
いえば、まさに炎熱のまっさいちゅうです。それがまたどうしたことか目もあてられない
酷暑つづきで、そのときのお奉行所《ぶぎょうしょ》お日誌によると、この年炎暑きびし....
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
していったのは、浜町河岸のその栗木屋です。――さすがのおひざもと大江戸も、真夏の
酷暑に物みなすべてが焼けついて、かげろう燃える町中は、行き来の人も跡を断ち、水い....
「楢重雑筆」より 著者:小出楢重
れるためか、どうかは知らないが、私は性来、水に浸る事が大嫌いである、いかに三伏の
酷暑であっても、海の風に吹かれると私の血は、腹の奥座へ逃げ込んでしまうのだ、まし....
「さまよえるユダヤ人の手記より」より 著者:寺田寅彦
一 涼しさと暑さ この夏は毎日のように実験室で油の蒸餾の番人をして暮らした。昔の武士の中の変人達が
酷暑の時候にドテラを着込んで火鉢を囲んで寒い寒いと云ったという話があるが、暑中に....
「夏」より 著者:寺田寅彦
ていて、ブラックホールの惨劇が一同の記憶に新鮮であったのである。 酷寒の季節に
酷暑に遭った例がある。高等学校時代のある冬休みに大牟田炭坑を見学に行った時のこと....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
の国たるこの国の、ごく古くからの習慣に従って、試験は七月に、一年じゅうのもっとも
酷暑のころに、行なわれたのだった。あたかも、各試験官でさえその十分の一も知らない....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
だけしかあたためられていなかった。恐ろしい赤い獄衣を着ていた。ただ恩典としては、
酷暑の折りに麻のズボンをつけ、酷寒の折りに毛織の短衣を背中に引っ掛けることだけだ....
「貞操問答」より 著者:菊池寛
横に飛び違った。 新子が、昨夜四谷の家に帰ったのは、十二時過ぎであったが、昼の
酷暑に乾き切っている都会の空気は、夜になってもまだむしむしと暑く、殊に建てこんで....
「ふるさとに寄する讃歌」より 著者:坂口安吾
達の見えない日には、私が病院に泊まることを約束した。 雪国の真夏は、一種特別の
酷暑を運んだ。ひねもす無風状態がつづいた。そのまま陽が落ちて、夜も暑気が衰えなか....
「卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
向う斜めに、しかも反っていたのを、ちょうど私の傍に居合わせた、これはまた土用中、
酷暑の砌を御勉強な、かたぎ装の本場らしい芸妓を連れた、目立たない洋服の男が居て、....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
ざなみをただよわすは、風の力にあらずして、潮流あるためならん。赤日炎々、はじめて
酷暑を覚ゆ。当夜十一時、赤道を横断して北半球に入る。 客衣欲。 (旅の衣服につい....
「松の操美人の生埋」より 著者:宇田川文海
氏の技芸を見聞する能わず、宝山空手の思い徒に遺憾を齎らして還る。其の翌十八年の夏
酷暑と悪病を避けて有馬の温泉に浴す。端なく会人無々君と邂逅して宿を倶にす。君は真....
「道は次第に狭し」より 著者:北大路魯山人
ない。なるほど薄いのは中身が足らず物足りない。味がないと言えば味がない。けれども
酷暑の刺身として、チビリチビリ酒でも飲む者には、ちょっと摘まむには、いかにもさら....
「茂吉の一面」より 著者:宇野浩二
日のは、名古屋市昭和通松月町六ノ一九の堀内通孝あての葉書で、その葉書には、「拝啓
酷暑の候御清適大賀奉り候非常に上等品いただき御芳情大謝奉り候深く御礼申上候○御作....