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酸い
「酸い〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
酸いの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「「いき」の構造」より 著者:九鬼周造
て、喜撰《きせん》は朝茶の梅干に、栄代団子《えいたいだんご》の角《かど》とれて、
酸いも甘いもかみわけた」という言葉があるように、「いき」すなわち粋の味は
酸いので....
「茶の本」より 著者:岡倉覚三
の象徴|酢瓶の前に立って、おのおの指をつけてそれを味わった。実際的な孔子はそれが
酸いと知り、仏陀はそれを苦いと呼び、老子はそれを甘いと言った。 道教徒は主張し....
「食魔」より 著者:岡本かの子
穴が食慾で拡がった。 アンディーヴの截片はお絹の口の中で慎重に噛み砕かれた。青
酸い滋味が漿液となり嚥下される刹那に、あなやと心をうつろにするうまさがお絹の胸を....
「化銀杏」より 著者:泉鏡花
いわれても、はッと呼吸のつまるように、おびえ切っている癖に。今僕に話すようじゃ、
酸いも、甘いも、知っていて、旦那を三銭とも思ってやしない。僕が二厘の湯銭の剰銭で....
「山の湯雑記」より 著者:折口信夫
、舌に酸っぱいことを意味する名の湯が、大分あるが、我々の近代の用語例からすれば、
酸いと言うより、渋いに偏った味である。最上高湯は、狭い山の湯村に驚くばかりの人数....
「明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
着いた人物。御家人くずれで、漢学の素養もあるが、道楽に身をもちくずしたこともある
酸いも甘いもかみわけた通人夫婦。五十をすぎて子供もなく、デタラメに薬を煮たてて病....
「裏切り」より 著者:坂口安吾
いつもライスカレー三枚はペロリと平らげていました。 阿久津のトオサンはいわゆる
酸いも甘いも噛みわけた苦労人でお気に入りには毎日でもタダメシを食わせてくれる人で....
「オフェリヤ殺し」より 著者:小栗虫太郎
、ある一つの微妙な言葉となって、僕に伝えてくれたのだよ。よく会話中に見る事だが、
酸いような感覚を覚えると、僕等はどっちかの眼を閉じるものなのだ。所が、オフェリヤ....
「決闘」より 著者:神西清
ざいませんわ。」 家庭教師をして貴族的な家庭を渡り歩いたこともあり、一とおりは
酸いも甘いもかみ分けたマリヤ・コンスタンチーノヴナは、それに相槌を打って、 「ほ....
「暗夜の格闘」より 著者:小酒井不木
速とび起きて、工場の扉をあけて見ると、中は真っ暗であったが、妙な鼻をつくような甘
酸いような臭いがしたので、はっと思って電灯をつけると、驚いたことに助手の竹内さん....
「馬琴の小説とその当時の実社会」より 著者:幸田露伴
て、十二分に尊敬すべき人だとは、十目十指の認めて居るところでございます。なるほど
酸いも甘いも咬み分けたというような肌合の人には、馬琴の小説は野暮くさいでもありま....
「八犬伝談余」より 著者:内田魯庵
相当な見識を具えてひと癖もふた癖もあったが、根が町家生れで如才なく、馬琴と違って
酸いも甘いも心得た通人だったから人をそらすような事は決して做なかった。『優曇華物....
「小坂部姫」より 著者:岡本綺堂
ている。神道も仏道も儒教も軍学も、この場合にはなんの値いもない。しょせんは浮世の
酸いも甘いも噛み分けて、人間というものを能く理解している人に就いて、その意見を聞....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
らへ取収めることが出来る。
ところで跡に残っているそのタラーをよく煮ると今度は
酸い水とその実とが二つに分かれてしまう。その実というのはちょうど豆腐を漉したよう....
「仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
の人がやたらに生の野菜を喰べたのでは、ただの物好きにしか過ぎません。 世の中の
酸いも甘いも味わい尽した人の、確実な性格の裏付けの上に、なお純良性が残り、素朴性....