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酸味
「酸味〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
酸味の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「「いき」の構造」より 著者:九鬼周造
。そうして、自然界における関係の如何《いかん》は別として、意識の世界にあっては、
酸味は甘味と渋味との中間にあるのである。また渋味は、自然界にあっては不熟の味であ....
「鮨」より 著者:岡本かの子
、切ない感情が、体のどこからか判らないで体一ぱいに詰まるのを感じる。そのときは、
酸味のある柔いものなら何でも噛んだ。生梅や橘の実を※いで来て噛んだ。さみだれの季....
「母子叙情」より 著者:岡本かの子
。これだけつき合った間に気がついただけでも、飯の菜、菓子の好みにも種類があった。
酸味のある果物は喘ぐように貪り喰った。道端に実っている青梅は、妊婦のように見逃が....
「巴里祭」より 著者:岡本かの子
新吉の鼻に泌みて来た。新吉は昨晩レストラン・マキシムで無暗にあおったシャンパンの
酸味が爛れた胃壁から咽喉元へ伝い上って来るのに噎び返りながらテーブルの前へ起きて....
「無人島に生きる十六人」より 著者:須川邦彦
んづめ一個である。のどがかわいて、ひからびた口に、ほんの一なめだ。しかし、すこし
酸味があって、どうにか、かわきは止った。みんなは、これでまんぞくした。これから何....
「前記天満焼」より 著者:国枝史郎
らしい。 すると、鮫島大学であるが、もうどうにも仕方がない――こう云ったような
酸味ある笑いを、チラリと顔へ浮かべたが、弁解するように云い出した。 「何の、実は....
「仇討姉妹笠」より 著者:国枝史郎
これが彼を男泣きに泣かせたのらしい。 そういう二人を左見右見しながら、頼母は
酸味ある微笑をしたが、やがて提げていた刀の鐺で主税の肩をコツコツと突き、 「八重....
「血曼陀羅紙帳武士」より 著者:国枝史郎
思ったか、首を傾げたが、何か思いあたったと見え、やがて、月光の中で、唇をゆがめ、
酸味ある笑い方をしたかと思うと、「弱いところを握られた女へ、金の他に頼みといって....
「オフェリヤ殺し」より 著者:小栗虫太郎
ものになってしまった。と云うのは、あの当時は、奈落にニスの臭いが罩っていたので、
酸味の表出で、淡路君が余儀ない偽りを吐いたと云う事が判ったのだよ」 「それでは、....
「剣侠」より 著者:国枝史郎
下った。 間! 静かにして物凄い、生死の境の間が経った。 と、陣十郎の唇へ
酸味のある笑いが浮かんで来た。 「駄目だなア主水、問題にならぬぞ。それでは到底俺....
「決闘」より 著者:神西清
……三つとも飲って見て、ひとつ忌憚のないところをきかしてくれ。……僕のはちょいと
酸味があるようなんだが。ええ、どうだね?」 「うん。君のおかげで安心したよ、アレ....
「たぬき汁」より 著者:佐藤垢石
野猿を猟師から買い受け、その唇を味噌煮にこしらえて食べたことがあるが、軽い土臭と
酸味を持っていて口では言い表わせぬ魔味を感じたのであった。今回の八丁味噌のたぬき....
「姫柚子の讃」より 著者:佐藤垢石
か、膾に作ればこれに勝った味はない。特に、膾の醤油に姫柚子の一滴を加えれば、その
酸味に絶讃の嘆を放ちたくなるのである。 姫柚子といえば、この初秋鎌倉の釣友を訪....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
タラーの水も無駄にはならん。それを飲むと喉の渇きを止めるにはごく都合がよい。少し
酸味はあるがなかなか味のよいものです。
チューラは生でも喰いますが、沢山出来る....
「琥珀揚げ」より 著者:北大路魯山人
はてんぷらのそれと同じように、比較的かためにつくった葛の汁に、橙かレモンを入れて
酸味をつける。この葛だしの中に揚げたさかなをちょっとつけ、それを食器に形よく盛る....