酸漿[語句情報] » 酸漿

「酸漿〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

酸漿の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
婦系図」より 著者:泉鏡花
で美いから、その色に紛うけれども、可愛い音は、唇が鳴るのではない。お蔦は、皓歯に酸漿を含んでいる。…… 「早瀬の細君はちょうど(二十)と見えるが三だとサ、その年....
親子」より 著者:有島武郎
たけれども畦道をやや広くしたくらいのもので、畑から抛り出された石ころの間なぞに、酸漿の実が赤くなってぶら下がったり、轍にかけられた蕗の葉がどす黒く破れて泥にまみ....
深夜の市長」より 著者:海野十三
飛びだした。時刻は正に午後九時。 門前仲町――とネオン・サインが出ている横丁、酸漿電灯の下をくぐり、そこにポツンポツンと三味を弾いて、これから商売にかかろうと....
」より 著者:島崎藤村
供は、宿屋の亭主でもだれでもやりこめるほどの理屈屋だった。 盆が来て、みそ萩や酸漿で精霊棚を飾るころには、私は子供らの母親の位牌を旅の鞄の中から取り出した。宿....
神秘昆虫館」より 著者:国枝史郎
の光を蔽うたので、月が血煙りに暈《ぼか》されて、一瞬間赤く色を変え、まるで巨大な酸漿《ほおずき》が、空にかかったかと思われたが、それを肩にした弁天松代が、 「こ....
菎蒻本」より 著者:泉鏡花
桜草、菫、山吹、植木屋の路を開き初めて、長閑に春めく蝶々|簪、娘たちの宵出の姿。酸漿屋の店から灯が点れて、絵草紙屋、小間物|店の、夜の錦に、紅を織り込む賑となっ....
茸の舞姫」より 著者:泉鏡花
たと煽いで呼ばるる。……毎年顔も店も馴染の連中、場末から出る際商人。丹波鬼灯、海酸漿は手水鉢の傍、大きな百日紅の樹の下に風船屋などと、よき所に陣を敷いたが、鳥居....
灯明之巻」より 著者:泉鏡花
で、痛快にその臓腑を抉るのである。末法の凡俳は、咽喉までも行かない、唇に触れたら酸漿の核ともならず、溶けちまおう。 ついでに、おかしな話がある。六七人と銑吉が....
怨霊借用」より 著者:泉鏡花
駈出す。 夫人も、つい誘われて門へ立った。 高張、弓張が門の左右へ、掛渡した酸漿提灯も、燦と光が増したのである。 桶屋の凧は、もう唸って先へ飛んだろう。馬....
名人地獄」より 著者:国枝史郎
った者があった。「これは失礼を」「いや拙者こそ」双方いいながら顔を見合わせた。剣酸漿の紋服を着た、眼覚めるばかりの美男の武士が、冷然として立っていた。 「とんだ....
娘煙術師」より 著者:国枝史郎
ばなるまい。火の粉が八方へ散って行く。その中に月が浮かんでいる。なんと妖怪じみた酸漿色の月だ! 火の粉と月との真下の地上を、押し合い突き合いぶつかり合って、人の....
卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
のが――私も猿の人真似で、涙でも出ていたのか洋燈の灯が茫となった中に、大きな長刀酸漿のふやけたような嬰児を抱いて、(哀別に、さあ、一目。)という形で、括り枕の上....
淡島椿岳」より 著者:内田魯庵
、中央に穴を明けてスッポリ被り、左右の腕に垂れた個処を袖形に裁って縫いつけ、恰で酸漿のお化けのような服装をしていた事があった。この服装が一番似合うと大に得意にな....
古事記」より 著者:太安万侶
うのはどういう形をしているのですか」とお尋ねになつたところ、「その目《め》は丹波酸漿《たんばほおずき》のように眞赤《まつか》で、身體一つに頭が八つ、尾が八つあり....
釜沢行」より 著者:木暮理太郎
る)からのり出した日蔭つつじの黄花が、薄暗い木蔭にほんのりと暖い色を浮べる。深山酸漿草の美しく咲きこぼれた草原を通り抜けてまた河原を辿って行く。 飛鳥川ならぬ....