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醇朴
「醇朴〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
醇朴の前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「笑う唖女」より 著者:夢野久作
おど》り出しているもの……不安とか、不吉とかいう影のミジンも映《さ》していない、
醇朴《じゅんぼく》そのもののような田舎《いなか》の人々の集まりであった。それが皆....
「二つの庭」より 著者:宮本百合子
生活につけて来た。けれども、伸子が娘として父母のために、それを護りたく思う夫婦の
醇朴さは失われきったといえないと思えるのであった。 「このことはね、お母様。お母....
「道標」より 著者:宮本百合子
やり、太って息ぎれのする門番について三階の新しい室へおりて行った。
いかにも
醇朴な若くないロシア女の眼をもった主婦の顔を見て、まず伸子がふかい安心と信頼を感....
「婦人と文学」より 著者:宮本百合子
た二十年代のロマンティシズムの惨めな変り咲きであった。『文学界』の人々の若々しく
醇朴なロマンティシズムは、一葉の芸術に影響した過程をみても明らかなとおり、本来は....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
これや を。 何と度々 愛の誓いが反古になるのを 目撃したろう。 その
醇朴さが 却って ばつの悪いほど 辱しめられるのをも眺めて来た。 けれども....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
き、生活力が少しずつ少しずつたまって来るとき、人生を又新しいもののように受とり、
醇朴に近づき、謙遜にもなるのは、うれしくたのしい思いですね。私が近頃感じている仕....
「わが童心」より 著者:佐藤垢石
ば、足下に流るる清冽な水。花弁重たき菜穀の田畑。さらに接するにわが生まれた里人の
醇朴な温情。 国破れて、山河ありとは支那の言葉だ。わが日本では、飽くまで国栄え....
「山の湯の旅」より 著者:上村松園
かをやったり、山登りをしたりして遊んできましたが「とても静かな土地で、土地の人も
醇朴でいい温泉地ですから、お母アさんも一度いって見ませんか」といいますので、私も....
「巷の声」より 著者:永井荷風
かぎらず多年使い馴れた器物を愛惜して、幾度となく之を修繕しつつ使用していたような
醇朴な風習が今は既に蕩然として後を断ったのも此の一事によって推知せられる。 明....
「濹東綺譚」より 著者:永井荷風
たり》の広いカフエーに長年働いている女給などに比較したなら、お雪の如きは正直とも
醇朴《じゅんぼく》とも言える。まだまだ真面目な処があるとも言えるであろう。 端....
「宮本武蔵」より 著者:吉川英治
うに」 「七宝寺のある美作の山奥もよかったが、この柳生の庄もわるくないの。平和で
醇朴で、お通さんのような佳人は、世俗の血みどろな巷へ出さずに、生涯そっと、こうい....
「三国志」より 著者:吉川英治
は至極平凡で、滔々の弁でもなく、なんらの機智もないが、ただけれんや駈引きがない。
醇朴と真面目だけである。内心はともかく、人にはどうしてもそう見える。 袁紹は形....
「三国志」より 著者:吉川英治
きっている」 「いっそ、南方へ蒙塵あそばすのが、いちばん安全でしょう。南方はまだ
醇朴な風があるし、丞相孔明が布いた徳はまだ民の中に残っています」 衆論は区々で....