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醗
「醗〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
醗の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「老妓抄」より 著者:岡本かの子
握っている自分の手に伝わるまでに響いたが、彼女の心の中は不安な脅えがやや情緒的に
醗酵《はっこう》して寂しさの微醺《ほろよい》のようなものになって、精神を活溌にし....
「人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
るのが疎生していて、ところどころに大蕨がぬっと拳をあげている。そして、下は腐敗と
醗酵のどろどろの沼土。すると、ジメネス教授が立っているところから百メートルばかり....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
も人間も発達した。ある二三の口碑によるとこれは温められたナイルの泥の中での一種の
醗酵作用、すなわち、ある自生的過程によって起ったものとされており、この過程は歴史....
「三角形の恐怖」より 著者:海野十三
ものです。それは例の犯罪心理学の書物と、自分の勉強している数学との両方から偶然に
醗酵して来たものであったのです。私の考えでは人間が脅迫の観念に襲われる場合に其の....
「人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
のがあるんだよ。これは黒猩々がこっそり作っている。野|葡萄や、無花果の類を樹洞で
醗酵させ、それを飲るもんだからああいう浮かれ野郎になっちまうんだ、はっはっはっは....
「愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
心持ちのなかには、切実な実行的意識が含まれている。いな、むしろ祈祷は実践的意識の
醗酵、分泌した精のごときものである。今ここにある人の心に愛が訪れるとする。その愛....
「巴里のキャフェ」より 著者:岡本かの子
た。 部屋一ぱいの男客、女客の姿態は珈琲の匂いと軽い酒の匂いに捩れ合って、多少
醗酵しかけている。弾む話。―― 「巴里の消防署長が、火事のときに消防夫に給与する....
「博物誌」より 著者:岸田国士
て、興奮のあまり気持がへんになってくる。何もかもはっきりしすぎる。からだのなかが
醗酵したようになる。どうも気味がわるい。そこで林を出て、鋳型作りの職人たちが村へ....
「高原の太陽」より 著者:岡本かの子
葉を許して下さい……」 「でも私は積極的でしょうか」 「熱情があんまり清潔すぎて
醗酵しないから、病的な内気の方へ折れ込んで仕舞うのでしょう。あなたの兄さんもそう....
「唇草」より 著者:岡本かの子
てある葭簀や、フレームの天井は明るみ切って、既に夏になり切っている。 腐葉土の
醗酵した匂いが眼にか鼻にか判らない幽かな刺戟で浸みると、濁酒のような親しげな虚無....
「百喩経」より 著者:岡本かの子
すまして居た。 「ひどい。なんの理由もなしに………」 性急にどもり乍ら男の声は
醗酵した。 「あんたがあんまりおとなしいものだからよ。口説いたのよ。ここのうちの....
「レモンの花の咲く丘へ」より 著者:国枝史郎
るか、その一曲では未だ知れぬ、小鳥よ眠りながら再び聞け。(とまた弾ず)暗は罪悪を
醗酵させ、生を死と変じさせ、光を吸って生きている。丁度女の心のようだ。……女よ!....
「青春の息の痕」より 著者:倉田百三
に注意しました。近代の青年はあまりに空想が小さい。 なにしろ私は、宗教的気分の
醗酵のなかに暮らしています。そして不幸な地位に忍耐して勉強しています。夜は実に淋....
「芸術は革命的精神に醗酵す」より 著者:小川未明
して人生というものを宿命的のものに強いて見ようとつとめた。 「芸術は革命的精神に
醗酵す」という宣言の下に生れた芸術とは、全く選を異にする。一つは、太平時代の産物....
「常に自然は語る」より 著者:小川未明
ない強さがあり、爆破があり、また喜びがあるのである。自然の条件に従って、発生し、
醗酵するものゝみが、最も創意に富んだ形を未来に決定するのである。それ故に、機械主....