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醸し出す
「醸し出す〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
醸し出すの前後の文節・文章を表示しています。該当する9件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「旅愁」より 著者:横光利一
ちがいなかった。実際この一堂の中を見廻していると人に愛せられる塩野の性質の自然に
醸し出すなごやかさが溢れていた。
「このかた、パリでピアノをやってらした、藤尾み....
「雑記(Ⅰ)」より 著者:寺田寅彦
楽というものは、客観的分析的あるいは批評的に聴くべきものではなくて、ただこの音の
醸し出す雰囲気の中に無意識に没入すべきもののような気がする。そうする事によってこ....
「図書館法楽屋話」より 著者:中井正一
ていってもやりにくいそうである。文化というものはそんなものである。数十年の空気が
醸し出すものである。ソヴィエートに二十八万あるのに日本に三百しかない図書館を、一....
「夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
う思って困惑した。素直に情感が流れて来ないということは、そういう濃やかな雰囲気を
醸し出す境遇にかれが置かれていないという事、その事をかれは次第に自覚してきた。か....
「不在地主」より 著者:小林多喜二
のが始めてだった。都会のまばゆい電燈になれた眼には暗い。まるで暗い。然しランプの
醸し出す雰囲気は、始めて令嬢を喜ばせた。 「素敵だわ!」 小樽や東京にいる友達....
「京の四季」より 著者:和辻哲郎
の一部分である。新緑のころ、東山の常緑樹の間に点綴されていかにも孟春らしい感じを
醸し出す落葉樹は、葉の大きいもの、中ぐらいのもの、小さいものといろいろあったが、....
「エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
当な恩賞をいただかなかった不平武士が、このうえロンドン近くに置いてはどんな危険を
醸し出すかわからぬほど大勢、お伴してゆくだろう、そうも伯爵は宣言したそうだ、など....
「勝ずば」より 著者:岡本かの子
の相手になっている華岡医師をまともに見るのも不愉快だった。自分だけはこんな少女の
醸し出すセンチメンタルな甘えた雰囲気の中に捲き込まれるのはまっぴらだと思った。多....
「随筆 新平家」より 著者:吉川英治
い。 古典の訓みには、たしかに古雅な匂いや色や情調の響きがあって、よく時代感を
醸し出す特長はあるのであるが、現代読みに馴れている読者には、いちいち眼に厄介だし....