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「重たい〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

重たいの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
ていた。神経に強い刺激が与えられて、とかく鬱結《うっけつ》しやすかった血液も濃く重たいなりにもなめらかに血管の中を循環し、海から来る一種の力がからだのすみずみま....
檸檬」より 著者:梶井基次郎
、私は歩き廻った疲労が出て来たのだと思った。私は画本の棚の前へ行ってみた。画集の重たいのを取り出すのさえ常に増して力が要るな! と思った。しかし私は一冊ずつ抜き....
」より 著者:岡本かの子
でその場はそれなりになる。湊も苦笑しながら相手の客に一礼して自分の席に向き直り、重たい湯呑み茶碗に手をかける。 ともよの姿の見えぬときは物寂しそうに、いつもよ....
渾沌未分」より 著者:岡本かの子
だ。 よく見ていると靄は水上からだんだん灰白色の厚味を増して来る。近くの蘆洲は重たい露でしどろもどろに倒れている。 今日は青海流水泳場の遠泳会の日なのである....
聖アレキセイ寺院の惨劇」より 著者:小栗虫太郎
表情を泛べて、答えなかった。 鐘楼はまったくの闇だった。上方から凍えた外気が、重たい霧のように降り下って来る。二人の前方|遙か向うには、円形の赭い光の中に絶え....
悪獣篇」より 著者:泉鏡花
結縁じゃに因って、半日も早うのう、その難有い人のお姿拝もうと思うての、やらやっと重たい腰を引立てて出て来たことよ。」 紅糸の目はまた揺れて、 「奇特にござるわ....
羅生門」より 著者:楠山正雄
ふと綱の乗っていた馬がぶるぶると身ぶるいをしました。そのとたん、ずしんと何か重たいものが、後ろの鞍の上に落ちたように思いました。おやと思って、綱がそっとふり....
家なき子」より 著者:楠山正雄
けれども老人にはわかっていた。それでまもなくわたしは、これまでの木ぐつの十倍も重たい、くぎを打ったくつをはくことになった。うれしいな。 老人の情けはそれだけ....
貞操問答」より 著者:菊池寛
けな幼子が、白く濃く白粉を塗り、青く光るほど紅を塗って、人形のようなおかっぱで、重たい衣裳をつけて、踊る舞台は、佐四郎人形を見るようであった。長唄連中は、勿体な....
紅毛傾城」より 著者:小栗虫太郎
、一寸ばかりの空間を、透んだ蒼白い、清冽な輝きで覆うているのだ。 とめどなく、重たい涙が両|頬を伝わり落ちて、歓喜のすすり泣きが、彼女の胸を深く、波打たせた。....
夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
われて仕方がない。清新と自主と自由とが縫い目縫い目に現われている。野性に圧された重たい麻衣の上に少しばかりの柔靭さが加わったとすれば、あの不思議な縫糸と自然な運....
豆腐買い」より 著者:岡本かの子
鍋膏薬の使いからしが流されて来た。ロンドンの六片均一店で売って居る鍋膏薬は厚くて重たい程だった。世界的不況時代にせめてロンドンでの鉄の贅沢だった。それを器用に薄....
水菓子屋の要吉」より 著者:木内高音
にいなかからでてきたのです。 要吉の仕事の第一は、毎朝、まっさきに起きて、表の重たい雨戸をくりあけると、年上の番頭さんを手伝って、店さきへもちだしたえんだいの....
扉の彼方へ」より 著者:岡本かの子
「僕のこの頑固な胸を君に開いて貰いたいのだ」 ああ、それは実に開くに骨の折れる重たい樫の木の扉である。そしてその扉は良人の胸にばかりあるのかと思いの外、私の胸....
黒い旗物語」より 著者:小川未明
てください。銭はないけれど、ここにみごとなさんご樹と、きれいな星のような真珠と、重たい金の塊があります。私はなんでも暖かな食べ物を持っていって、お爺さんにあげた....