重なる[語句情報] »
重なる
「重なる〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
重なるの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「鼻」より 著者:芥川竜之介
鼻《かぎばな》はあっても、内供のような鼻は一つも見当らない。その見当らない事が度
重なるに従って、内供の心は次第にまた不快になった。内供が人と話しながら、思わずぶ....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
食いしばりながら、足もとばかり見つめて歩いた。
実際眼に見えるものは、足もとに
重なる岩だけであった。そのほかは一面に暗い霧が、山や谷を封じていた。霧の中では風....
「二つの手紙」より 著者:芥川竜之介
数《すう》に上る事でございましょう。
私はさし当り、これ以上実例を列挙して、貴
重なる閣下の時間を浪費おさせ申そうとは致しますまい。ただ、閣下は、これらが皆疑う....
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
土である森林も等しなみに雪の下に埋れて行った。一夜の中《うち》に一尺も二尺も積り
重なる日があった。小屋と木立だけが空と地との間にあって汚ない斑点《しみ》だった。....
「星座」より 著者:有島武郎
た。今度が二度目だ。二度行ったら三度行くだろう。三度行ったら四度、五度、六度と度
重なるだろう。どこからそんなことをする金が出てくるか。そのうちにすべての経緯《い....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
塩のこなたへボカン。 声が高いのでもう一人、奥からばたばたと女中が出て来て、推
重なると、力を得たらしく以前の女中が、 「ほんとうにお前さん、お座敷が無いのです....
「伯爵の釵」より 著者:泉鏡花
い。 「あ、」と声を立てたほどである。 雫を切ると、雫まで芬と臭う。たとえば貴
重なる香水の薫の一滴の散るように、洗えば洗うほど流せば流すほど香が広がる。……二....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
出ましてな。何か御覚悟がおありなさるそうで、熟と辛抱をしてはござるが、怪しい事が
重なるかして、お顔の色も、日ごとに悪い。 と申せば、庭先の柿の広葉が映るせいで....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
突立ったその三味線を、次の室の暗い方へ密と押遣って、がっくりと筋が萎えた風に、折
重なるまで摺寄りながら、黙然りで、燈の影に水のごとく打揺ぐ、お三重の背中を擦って....
「照葉狂言」より 著者:泉鏡花
てたり。朝霧淡くひとつひとつに露もちて、薄紫に蘂青く、純白の、蘂赤く、あわれに咲
重なる木槿の花をば、継母は粥に交ぜて食するなり。こは長寿する薬ぞとよ。 梨の核....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
ては、再挙の計劃の到底無益であることが次第次第に判ってまいりました。積もる苦労、
重なる失望、ひしひしと骨身にしみる寂しさ……私の躯はだんだん衰弱してまいりました....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
改善の見込は絶無であろう。 問『無邪気な小児は、死後直ちに上界に進むか?』 貴
重なる地上生活の二つである。帰幽せる小児は、天賦的に前者を具えていることもある。....
「狂女」より 著者:秋田滋
その頃、僕のうちの隣りに、まあ狂女と云うのだろう、妙な女がひとり住んでいた。たび
重なる不幸で頭が変になってしまったんだね。話はすこし昔にかえるが、この女は二十五....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
り来る、夕暮の小路の風の、冷やかなばかりではなかった。 明り取りに半ば開いた、
重なる障子の薄墨に、一刷黒き愛吉の後姿、朦朧として幻めくお夏の背に蔽われかかって....
「浅沼稲次郎の三つの代表的演説」より 著者:浅沼稲次郎
軍を駐屯することがアジアに緊張を激化するものであるとして、日本政府にたいしては慎
重なる態度をとることを要請したのであります。(拍手) さらにまた社会党は以上の....