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重る
「重る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
重るの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「太平洋魔城」より 著者:海野十三
こわい顔をしているな。おい、太刀川。さっきから、こうなるのを待っていたんだ。積り
重る恨のほどを、今、思い知らせてやるぞ」 リーロフ大佐は、酔った勢いも手つだっ....
「栃の実」より 著者:泉鏡花
、また英雄が、涙に、誉に、屍を埋め、名を残した、あの、山また山、また山の山路を、
重る峠を、一羽でとぶか、と袖をしめ、襟を合わせた。山霊に対して、小さな身体は、既....
「小春の狐」より 著者:泉鏡花
限り名を呼び合うのである。一句、一句、会話に、声に――がある……がある……! が
重る。――私は夜も寝られないまで、翌日の日を待ちあぐみ、日ごとにその新聞の前に立....
「陽炎座」より 著者:泉鏡花
らめく処々に薄りと蔭がさす、何か、もの思か、悩が身にありそうな、ぱっと咲いて浅く
重る花片に、曇のある趣に似たが、風情は勝る、花の香はその隈から、幽に、行違う人を....
「唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
、中が古風にも竹の子弁当。……御存じはございますまい、三組の食籠で、畳むと入子に
重るやつでね。案ずるまでもありませんや、お道姉さんが心入れのお手料理か何かを、旅....
「照葉狂言」より 著者:泉鏡花
初なる俥の上下にも、小幾、重子など、肩貸し、腰を抱きなどせしなり。 月日に痛み
重るを、苦忍して、強いて装束着けたりしが、その時よりまた起たずなりき。 楽屋に....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
滝太郎は独り見て取って、何か憚る処あるらしく、一度は一度、婦人が黒い目で睨む数の
重るに従うて、次第に暗々|裡に己を襲うものが来り、近いて迫るように覚えて、今はほ....
「雪霊記事」より 著者:泉鏡花
しばしば命を殞したのでありますから、いずれその霊を祭ったのであろう、と大空の雲、
重る山、続く巓、聳ゆる峰を見るにつけて、凄じき大濤の雪の風情を思いながら、旅の心....
「雪霊続記」より 著者:泉鏡花
風が根こそぎにその吹く方へ吹飛ばして運ぶのであります。一つ二つの数ではない。波の
重るような、幾つも幾つも、颯と吹いて、むらむらと位置を乱して、八方へ高くなります....
「子供役者の死」より 著者:岡本綺堂
哀そうなのは六三郎です。自分の思う女に見限られたばかりか、それが根となって病いは
重るばかりで、みんなと一緒に信州まではともかくも乗り込んだものの、とても舞台の人....
「瓜の涙」より 著者:泉鏡花
く。 渠は心ゆくばかり城下を視めた。 遠近の樹立も、森も、日盛に煙のごとく、
重る屋根に山も低い。町はずれを、蒼空へ突出た、青い薬研の底かと見るのに、きらきら....
「河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
掛けて、両方へ、幻の袖のような輪を垂らした。つづく下枝の節の処へ、構わない、足が
重るまでも一所に踏掛けて、人形の首を、藁苞にさして、打交えた形に、両方から覗いて....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
る土塀際を斜に切って、小さな築山の裾を繞ると池がある。この汀を蔽うて棚の上に蔓り
重る葡萄の葉蔭に、まだ薄々と開いたまま、花壇の鉢に朝顔の淡きが種々。 あたかも....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
え処もなくて済んだその時、今そこに婆さんの顔ばかりとなったのみならず、二杯三杯と
重るにつれて、遠慮も次第になくなる処へ、狂水のまわるのが、血の燃ゆるがごとき壮佼....
「二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
帰られないと駄々を捏ねたは決して無理はなかった。が、このまま滞留すれば病気は益々
重るばかりで、終には取返しが付かなくなるのが看え透いていながら万に一つ帰朝すれば....