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重囲
「重囲〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
重囲の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「明暗」より 著者:夏目漱石
ているのも明かに推測された。――こう考えた彼女は急に心細くなった。知らないうちに
重囲《じゅうい》のうちに自分を見出《みいだ》した孤軍《こぐん》のような心境が、遠....
「野分」より 著者:夏目漱石
揮《ふる》って、打ちのめさるるがごとき心地がする。高柳君はこの園遊会において孤軍
重囲のうちに陥ったのである。 蹌踉《そうろう》としてアーチを潜《くぐ》った高柳....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
ようにではなく、植物の萠芽のように。 × 一|艘の船が海賊船の
重囲に陥った。若し敗れたら、海の藻屑とならなければならない。若し降ったら、賊の刀....
「長篠合戦」より 著者:菊池寛
を押えて、退軍して士気を新にすることを奨めた。そこで馬を返そうとすると、既に敵の
重囲の中であるから、朱の前立を見て、音に聞えた山県ぞ、打洩すなと許り押し寄せて来....
「島原の乱」より 著者:菊池寛
襲して、貞清自らも肩を槍で衝かれた。家臣湯浅覚太夫がその城兵を突伏せたので、危く
重囲を脱し得たが、従士は次々に斃れるばかりである。その処を赤い瓢箪の上に小熊を附....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
に劇しい雷が鳴った。彼はぐっと息が詰った。本能的に彼は奔り出したが、所詮此雷雨の
重囲を脱けることは出来ぬと観念して、歩調をゆるめた。此あたりは、宿と村との中間で....
「小説 不如帰 」より 著者:徳冨蘆花
鳴り電ひらめき黒風吹き白雨ほとばしる真中に立てる浪子は、ただ身を賭して早く風雨の
重囲を通り過ぎなんと思うのみ。それにしても第一撃のいかにすさまじかりしぞ。思い出....
「十月革命と婦人の解放」より 著者:野呂栄太郎
得したプロレタリア権力をあくまで死守するために、長い間反革命軍や帝国主義諸外国の
重囲のうちにあらゆる困難に耐えて勇敢に闘い、ついにそれらを撃破することに成功した....
「毒瓦斯発明官」より 著者:海野十三
た。 その結果は、どうであったか。 醤買石は、生命からがら、怒濤のような敵の
重囲を切りぬけて、ビルマ・ルートへ逃げこむという騒ぎを演じた。 燻精の作った新....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
うかったはずではないか、それが、鉄火《てっか》とはいえ、女の手だけでどうしてあの
重囲《じゅうい》を切り抜けて、ここにこうして、今つづみの与吉を、なかば色仕掛《い....
「自警録」より 著者:新渡戸稲造
え得なかった時、鳥居強右衛門《とりいすねえもん》が万苦《ばんく》を冒《おか》して
重囲を潜《くぐ》り、徳川家康《とくがわいえやす》に見《まみ》えて救いを乞い、再び....
「空家」より 著者:宮崎湖処子
郷の橋を渡れるなり、彼が喜悦に溢《あふ》るる心緒は、熊本籠城の兵卒が、九死一生の
重囲を出でて初めて青天白日を見たるその嬉《うれ》しさにも優《まさ》るべく、いと重....
「幕末維新懐古談」より 著者:高村光雲
山陽道に出でたまい、かくて兵庫へ還御ならせられました。そのみぎり、楠公は金剛山の
重囲を破って出で、天皇を兵庫の御道筋まで御迎え申し上げたその時の有様を形にしたも....
「幕末維新懐古談」より 著者:高村光雲
た時、岡倉校長は、これは楠公の生涯において最も時を得ました折のことにて、金剛山の
重囲を破って兵庫に出で、隠岐より還御あらせられたる天皇を御道筋にて御迎え申し上げ....
「黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
い包囲から脱け去ることが出来なかった。 これから何でも一の窪を下りて漸く偃松の
重囲を脱した後、綱を頼りに崩れ易い側崖の鼻を廻って、同じ崖続きの中腹に狭いが好い....