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重患
「重患〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
重患の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「父」より 著者:太宰治
けた事を言ってはいけない。お前は、生きている資格も無い放埒病《ほうらつびょう》の
重患者に過ぎないではないか。それをまあ、義、だなんて。ぬすびとたけだけしいとは、....
「十二支考」より 著者:南方熊楠
部の妓人をして昼夜供養せしめたとあるから芸者附きの大塔で、この塔今もあり癩病等の
重患者貴賤を問わず百余人常に参籠《さんろう》す、身を虎に施した太子はわが先身、師....
「十二支考」より 著者:南方熊楠
ちて晋の恵公を擒《とりこ》にした。また晋の趙簡子両白騾ありて甚だ愛せしに、ある人
重患で白騾の肝を食わずば死ぬと医が言うと聞き、その騾の肝を取ってやった。のち趙が....
「愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
ことができるのはたかの知れた熱病のときぐらいなものである。存在を危くするがごとき
重患はほとんど甘える余裕を与えぬほど厳粛に迫ってくる。そのような甘える思想ほどわ....
「年譜」より 著者:宮本百合子
送った。夏頃、健康が悪くなって寝汗をかき、微熱を出した。獄中で結核にかかり、一時
重患におち入ったことのある宮本は、私の健康回復法としてきびしい規律的生活のプログ....
「菜穂子」より 著者:堀辰雄
年が両腕で顔を抑さえながら、溜《た》まらなそうに泣きじゃくっているのを見かけた。
重患者の許嫁《いいなずけ》の若い娘に附添って来ている、物静かそうな青年だった。数....
「源氏物語」より 著者:紫式部
しておりますが、太政大臣の薨去されましたことで大きな打撃を受けましたおりから、御
重患におなりあそばしたので、頭はただ混乱いたすばかりで、私も長く生きていられない....
「或る日」より 著者:宮本百合子
いた婆《ばあや》を帰して仕舞った。 彼は前週の水曜日から、病気であった。ひどい
重患ではなかった。床を出て自由に歩き廻る訳には行かないが、さりとて臥《ねた》きり....
「障子の落書」より 著者:寺田寅彦
来事を思い出している。 無病息災を売物のようにしていた妹婿の吉田が思いがけない
重患に罹って病院にはいる。妹はかよわい身一つで病人の看護もせねばならず世話のやけ....
「微笑」より 著者:豊島与志雄
が右脚膝関接部の挫折は意外に重く全治一箇月を要する見込なれどもし発熱せばよほどの
重患に立至るべしと 私はその記事を読んで眼を見張った。村瀬も顔の筋肉を引しめ....
「夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
、かれにはその時頼みにする何物もなかったからである。 実を言えば、鶴見は結婚後
重患にかかり、その打撃から十分に癒されていなかったのである。そればかりか、病余の....
「人工心臓」より 著者:小酒井不木
では起死回生の実を挙げようと苦心|惨憺した人であって、その結果一時、健康を害して
重患に悩んだにも拘わらず、撓まず屈せず、遂に一旦その目的を達したのであるが、夫人....
「迷信解」より 著者:井上円了
くというに同じく、精神病の一種である。されど、あえて精神病に限るにあらず、大病、
重患にかかるときに、平素多少己に対して遺恨を有するものあれば、その霊魂が乗り移り....
「青春の息の痕」より 著者:倉田百三
京都を出立してよりさまざまな不幸にあいました。尾道に夜遅く着くと思いもよらぬ姉の
重患にてちょうど担架にのせられて出養生するところでした。私はこの姉の病気のことは....
「三国志」より 著者:吉川英治
、わが病を深く知らないからだ。わが病とはほかでもない兵糧の不足。如何ともなし難い
重患だが、幸いにも、敵はただその涸渇を待っていて、積極的に、わが通路を断とうとし....