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「重湯〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

重湯の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
《いき》苦しそうにこう答えた。 「なんにもいただけないんでしょうね」 「ソップと重湯《おもゆ》だけですが両方ともよく食べなさいます」 「ひもじがっておりますか」....
業平文治漂流奇談」より 著者:三遊亭円朝
ちら》は御身分もありお宅も広うございやすから、どうかお台所の隅へでも女房を置いて重湯でも飲ましておいてくれゝば、私《わっち》も膏薬の一貼《ひとはり》位《ぐれ》え....
夫婦善哉」より 著者:織田作之助
、はよ維康さんとこイ行ったりイな」そして、病気ではご飯たきも不自由やろから、家で重湯やほうれん草|炊《た》いて持って帰れと、お辰は気持も仏様のようになっており、....
」より 著者:島木健作
かれるであろうか、ということが意識の奥ふかくかすかに予想はされるのではあったが。重湯と梅ぼしばかりで生きた七日ののち、彼はようやく静かに半身を起して身体のあちら....
道草」より 著者:夏目漱石
ょうたろう》も少し癪《しゃく》だと見えて、なかなか茶の間から出て来なかった。 「重湯《おもゆ》でも少し飲んだら好《い》いでしょう。厭《いや》? でもそう何にも食....
思い出す事など」より 著者:夏目漱石
んがもう葛湯《くずゆ》も厭《あ》きたろうと云って、わざわざ東京から米を取り寄せて重湯《おもゆ》を作ってくれた時は、重湯を生れて始めて啜《すす》る余には大いな期待....
天馬」より 著者:金史良
木を植えたんでがす。その嬶が死にやがっただ。その嬶がよ」と百姓は叫んだ。「白米の重湯が食べてえちゅうので地主さんところへ借りに行った間に死にやがっただ。さあ、わ....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
を掃《はら》う玉箒《たまははき》というんだぜ、酒を飲んで胸を重くするくらいなら、重湯を食べて寝ていた方がいい」 「だが、丸山――酒は旨いんだよ、肴は申し分ないん....
生あらば」より 著者:豊島与志雄
。あとにして頂戴。」 「仕方がありませんね、そんなでは。」 看護婦は飲み残しの重湯《おもゆ》をまた覗いてみた。それは朝からまだいくらも飲まれてはいなかった。 ....
二つの途」より 著者:豊島与志雄
械的の反応らしかった。服薬や湿布や検温や検脈に、惜しむ所もなく身体をうち任した。重湯《おもゆ》を飲む時に、「少し熱うございますか。」と問われると、「うむ。」と返....
夢の図」より 著者:豊島与志雄
んなだろう。子供の病気は何よりも不自然であり、子供の節食は何よりもいたいたしい。重湯に御飯粒がいくつか浮いてるのを、持ってこられると、彼はいきなり起きあがって、....
無人島に生きる十六人」より 著者:須川邦彦
の二月、三月ごろまでは、どうやら、米があるみこみがたつ。おかゆにもできないから、重湯をたくさんこしらえて、一日に三度飲むことにして、あとは、かめや魚で、腹をこし....
梟啼く」より 著者:杉田久女
りにほしがった。馴れぬ七月中ばの熱帯国の事故、只々氷をほしがった。枕元の金盥には重湯とソップを水にひやしてあったが水は何度取り替えてもじきなまぬる湯の様になる。....
キャラコさん」より 著者:久生十蘭
てあげたいとかんがえて、その思いだけでキャラコさんの心はいっぱいだった。 まだ重湯が通るぐらいなので、元気のつくような食べものを喰べさせられないが、せめてさっ....
法然行伝」より 著者:中里介山
ぐようになる。末世の世には仏法の利益が次第に減じて堅いものは食われず、念仏三昧の重湯で生死を離れるのであると云うことを悟って、それからたちまち顕密の諸行を差置い....