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野太い
「野太い〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
野太いの前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「渾沌未分」より 著者:岡本かの子
に沁み入った。薫はそれを涼しいもののように眼を細めて恍惚と眺め入っていたが、突然
野太い男のバスの声になって 「そりゃ、貝原さんはいい人さ、小初先生と僕のことだっ....
「母子叙情」より 著者:岡本かの子
半分は言訳じみた声音で物を云った。それに対してむす子は、何等情を仮さないと云った
野太い語調で答えた。それは答えるというよりも、裁く態度だ。裁判官の裁きの態度より....
「石狩川」より 著者:本庄陸男
河原に下りていた戸田老人が喚《わめ》いたものである。動物の吼《ほ》える声のような
野太い叫びで呼んでいた。
「似とるぞ、似とるぞ」
何を寝とぼけているのか――う....
「雪之丞変化」より 著者:三上於菟吉
、ぶちこまれた穴の上――本堂で酒盛りは、一しおうまいだろう」
と、門倉平馬の、
野太い声。
「駄目ですわ、行って見たら、ごみだらけで、坐れたものじゃありません―....
「播州平野」より 著者:宮本百合子
いた四十がらみの痩せぎすの男が、さっと立って、 「おい君! 君!」 思いがけず
野太い、人を服従させつけている者の調子で窓ごしにその駅員をよびとめた。 「そんな....
「反逆」より 著者:矢田津世子
はひそめた眉を忙しく伸縮させた。 「献金!」 前列にいた毬栗頭が皆の方を向いて
野太い声を張りあげた。 赤い袋の中で銀貨がカチカチ音を立てた。 再び聖歌、祈....
「星女郎」より 著者:泉鏡花
ぬっくりと立ったが、瓶のようで、胴中ばかり。 (首はないが交際うけえ。) と、
野太い声で怒鳴られたので、はっと思うと、私も仰向けに倒れたんです。 やがて、気....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
たナ。あがらんうちに、その足で小豆《あずき》をすこし買《こ》うて来てもらいたい」
野太い泰軒の声が、まっくらな家の奥からぶつけるようにひびいてくる。
「あずき……....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
》の坊がそろったもんだ」
刀痕の影深い片ほおに、静かな笑みをきざませて、左膳は
野太い声でうめいた。
「この濡れ燕は、名代の気まぐれものだ。どこへ飛んでいくかわ....
「三甚内」より 著者:国枝史郎
トントントントンとその刹那、表戸を続けて打つものがある。 「開けろ開けろ」と
野太い声。 「南無三宝! 手が廻った!」 悲嘆から醒めて飛び上がる甚内。それを....
「魔都」より 著者:久生十蘭
突刺し滴の垂れるやつを、
「さア」
と加十の口元に差しつける。加十も止むを得ず
野太い口を開いて麩《ふ》呑みに呑み込むと、鶴子はフォークを加十の手に握らせて、
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