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野性
「野性〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
野性の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
《びんしょう》さがある、中肉《ちゅうにく》の、二十五六の女である。顔は、恐ろしい
野性と異常な美しさとが、一つになったとでもいうのであろう。狭い額とゆたかな頬《ほ....
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
鋼《はがね》の※が、かすかに彼女の鼻を打った。
いつか彼女の心の中には、狂暴な
野性が動いていた。それは彼女が身を売るまでに、邪慳《じゃけん》な継母《ままはは》....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
し出した。他の一団はまた犬のごとく盲目的に彼を崇拝した。さらにまた他の一団は彼の
野性と御目出度《おめでた》さとに残酷な嘲笑《ちょうしょう》を浴せかけた。最後に数....
「或る女」より 著者:有島武郎
けた。葉子はおびえるようにその手から飛びのいた。そこには獣《けもの》に見るような
野性のままの取り乱しかたが美しい衣装にまとわれて演ぜられた。葉子の歯も爪《つめ》....
「土曜夫人」より 著者:織田作之助
ぶれは、ませてはいても二十三歳という歳のせいか、それとも教養のなさか、身についた
野性の浅はかな動きだろうか。いずれにしても、時と場合でぐるぐる変る京吉の心の動き....
「籠釣瓶」より 著者:岡本綺堂
鬣毛《たてがみ》を振り立てて狂い廻っているのを無上の楽しみとしていた。彼は自分の
野性を縦横無尽に発揮して、それを生き甲斐のある仕事と思っていた。 それが去年の....
「白蟻」より 著者:小栗虫太郎
る。現に、この谿間《たにま》に移ってからというものは、騎西家の人達は見違えるほど
野性的になってしまって、体躯《からだ》のいろいろな角が、ずんぐりと節くれ立ってき....
「母子叙情」より 著者:岡本かの子
!」といって、身体は臆してうしろへ退いたが、眼は鋭く見詰め寄った。微妙なもの等の
野性的な集団を見ることは、女の感覚には、気味の悪いところもあったが、しかし、芽と....
「人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
で金色にひかっている。そして、ひくい唸り声を絶れ絶れにたてながら、今にもかくれた
野性がむんずと起きそうな、カークでさえハッと手をひくような有様だった。 それか....
「人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
が少なく、まず目につくのがおそろしく大きな牙。おまけに、人をみる目も絶対なじまぬ
野性。ついに折竹にも見当つかずと見えたところへ「あれかな」と、連れのケプナラを莞....
「巴里祭」より 著者:岡本かの子
の上についている|食しんぼう小屋のようなものが混っている。 人々が此所へ来ると
野性と出鱈目をむき出しにして、もっと/\と興味を漁るために揉み合う。球を投げ当て....
「街頭」より 著者:岡本かの子
を見せる。 いずれモンパルナスあたりの新進美術家のプランと見える。その誇張が新
野性主義の指標に適っていて賑やかできびきびしている。見物は笑わない。ただ見惚れて....
「小坂部姫」より 著者:岡本綺堂
かたもない悶々の情は、いよいよ彼を駆って半狂乱の人間にしてしまった。彼が持ち前の
野性は遠慮なく発揮された。 「もうこの上は誰をもたのまぬ。おれのことはおれがする....
「飛騨の怪談」より 著者:岡本綺堂
対しているお葉は、頗る危険の位置にあると云わねばならぬ。彼の情が激して一旦|其の
野性を発揮したら、孱弱い女に対して何んな乱暴を敢せぬとも限らぬ。 お葉もそれを....
「中世の文学伝統」より 著者:風巻景次郎
はない。現世の栄枯盛衰ばかりに気をとられて、この世で少しでも立身出世しようという
野性的な本能のままに、逞しく主我的な行動をすることに別れをつげた文化精神が、苦難....