野性的[語句情報] »
野性的
「野性的〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
野性的の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「あらくれ」より 著者:徳田秋声
居酒屋へ入っていくのが、習慣になった。そして家でおとなしく飲んでいられないような
野性的な彼の卑しい飲み癖が、一層お島を顰蹙《ひんしゅく》させた。
九十四
....
「虚構の春」より 著者:太宰治
いただきたい。(一行あき。)小泉君と先般|逢《あ》ったが、相変らず元気、あの男の
野性的親愛は、実に暖くて良い。あの男をもっと偉くしたい。(一行あき。)私は明日か....
「白蟻」より 著者:小栗虫太郎
る。現に、この谿間《たにま》に移ってからというものは、騎西家の人達は見違えるほど
野性的になってしまって、体躯《からだ》のいろいろな角が、ずんぐりと節くれ立ってき....
「ふもれすく」より 著者:辻潤
いたものであった。 もし僕が野枝さんに惚れたとしたら、彼女の文学的才能と彼女の
野性的な美しさに牽きつけられたからであった。 恋愛は複雑微妙だから、それを方程....
「母子叙情」より 著者:岡本かの子
!」といって、身体は臆してうしろへ退いたが、眼は鋭く見詰め寄った。微妙なもの等の
野性的な集団を見ることは、女の感覚には、気味の悪いところもあったが、しかし、芽と....
「映画雑感(Ⅳ)」より 著者:寺田寅彦
いるあの画面の植物は自分にはどうも黍か唐黍かとしか思われなかった。 主人公の「
野性的好男子」もわれらのような旧時代のものにはどうもあまり好感の持てないタイプで....
「愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
れ、自然の匂いの生々しいままで吹き出されるものであって、それ自身個人的にしてかつ
野性的なものである。 あなたの茶話会の演説は私の予期したごとくモラーリッシュな....
「カラマゾフの兄弟」より 著者:ドストエフスキーフィヨードル・ミハイロヴィチ
嘲笑ではなくただ皆にとってそれが楽しいからであった。この変わった性質というのは、
野性的な、夢中になるほどの羞恥心《しゅうちしん》と潔癖とであった。彼は女に関する....
「風と光と二十の私と」より 著者:坂口安吾
ないように人と語り合うことがすくなく、それでも沈黙がちに遊戯の中へ加わって極めて
野性的にとび廻っている。笑うことなどはなく、面白くもなさそうだが、然し跳ね廻って....
「発掘した美女」より 著者:坂口安吾
いな」 「バカにしちゃいけませんよ。ですが、彼女はいいですよ。純で、利巧で、また
野性的ですよ。好きですね」 「本当に肉体の関係はないのか」 「イヤだなア。なぜで....
「スポーツ・文学・政治」より 著者:坂口安吾
オーエンスのはうが尖鋭だね。南部はフォームが完成していて、女性的だ。その点古橋は
野性的で未完成のスゴミがある。 いつかチルデンが来たね。あのときはもう歳も歳で....
「フランケンシュタイン」より 著者:シェリーメアリー・ウォルストンクラフト
て私には嬉しいことだ。クレルヴァルこそ「自然の詩そのもの」に養われた人間なのだ。
野性的で熱狂的なその想像力は、心の感受性によって精煉されたものだ。魂は熱烈な愛情....
「安吾の新日本地理」より 著者:坂口安吾
どうにも怪しいじゃないか。裏でカラカラと哄笑している健康でたくましい古代の史家の
野性的な笑声がきこえてくるような気がするよ。 むしろ蘇我氏の祖先は大国主系統か....
「「はつ恋」解説」より 著者:神西清
ものでした。母親ヴァルヴァーラは三十五|歳で初めて結婚した、気丈でヒステリックで
野性的な、いわば典型的なロシアの女地主でした。これに反して父セルゲイ・ツルゲーネ....
「中世の文学伝統」より 著者:風巻景次郎
はない。現世の栄枯盛衰ばかりに気をとられて、この世で少しでも立身出世しようという
野性的な本能のままに、逞しく主我的な行動をすることに別れをつげた文化精神が、苦難....