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「野放図〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

野放図の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
星座」より 著者:有島武郎
のことなどはまったく忘れてしまったようなけろりとした顔をしていた。柿江はガンベを野放図《のほうず》もない男だと思って、妙なところに敬意のようなものを感じさえした....
新版 放浪記」より 著者:林芙美子
舎裏の土俵の日溜《ひだま》りでは、ルパシカの紐《ひも》の長い画学生達が、これは又野放図もなく長閑《のどか》な角力《すもう》遊びだ。上から口笛を吹いてやると、カッ....
放浪の宿」より 著者:里村欣三
から臓腑をひき出すような手付で、無我夢中で興奮していた。 露西亜人たちは、その野放図もない胴体で、ちょっとばかり力を入れれば、押し潰れそうな手製の貧弱なテーブ....
淪落の青春」より 著者:坂口安吾
た。頬はベニで真ッ赤であるが、ハダの荒れが感じられた。それはいっそう野性と情慾の野放図もない逞しさを感じさせ、シャクレた顔に妙に小さく引ッこんでいる目が、いつも....
わが血を追ふ人々」より 著者:坂口安吾
。彼は自在の力を信じ、自己の万能を空想したが、常に賞讃にみたされた通路に狎れて、野放図な子供の空想がそつくり大人の現実的な野心と計画に育つてゐた。 元々大人の....
陳情書」より 著者:西尾正
《も》う今頃はお娯しみの最中よ、そりゃ仲が良くって、妾達|妬《や》ける位だわ、と野放図も無く喋り立てます。最後に私の確信にとどめを刺す心算《つもり》で、おふささ....
地虫」より 著者:小栗虫太郎
それが、さ、三伝だと云うのさ」 「え、三伝が生きていた……」 これには、さすが野放図なお悦も、愕然と色を失った。夢ではないかと身内をま探っていたほど、それほど....
諦めている子供たち」より 著者:坂口安吾
ような悲しいやつれがあるが、子供にはそれがないから、彼らの諦観はむしろ大人よりも野放図もなく逞しく表れてくるのである。 こういう諦観はおそらく半年雪にとざされ....
多神教」より 著者:泉鏡花
れ! しかも、のうのうと居睡りくさって、何処に、馬の通るを知らぬ婦があるものか、野放図な奴めが。――いやいや、御堂、御社に、参籠、通夜のものの、うたたねするは、....
顎十郎捕物帳」より 著者:久生十蘭
」 庄兵衛は、膝を掻きむしって立腹し、 「この大馬鹿ものッ!……言わして置けば野放図《のほうず》もない。……こ、この俺が貴様などの智慧を借りるようで、天下の吟....
四月馬鹿」より 著者:織田作之助
見透す眼であろうと、私は思った。作家の眼を感じたのだ。 ちょっと受ける感じは、野放図で、ぐうたらみたいだが、繊細な神経が隅々まで行きわたっている。からだで掴ん....
春宵因縁談」より 著者:佐藤垢石
、頼母木の使者は追っ払われてしまった。 さすがにしぶとい頼母木の心臓も、三木の野放図もない心臓にはついに敵しかねてしまったのであった。 ところが、選挙の前の....
夜の構図」より 著者:織田作之助
本能、貯蓄、無駄を怖れる精神、――すべて軽蔑していた。信吉の意に適っているのは、野放図、破天荒、横紙破り、常規を逸したもの、破目を外したもの、尻尾を出すこと――....
エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
ものは、ロマンチックなくぜつ言の夢だって、そんなにも神聖な女体を思い浮かべるほど野放図にはなれない。 これは伝説だが、あるすばらしい青年貴族が、彼女の前にうや....
中世の文学伝統」より 著者:風巻景次郎
超剋すべく困難な時代へ乗りかけてきていたかということを物語るものなのである。単に野放図や遊戯的態度からしては、『新古今集』を性格づけるような声調は彫み出されては....