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野暮天
「野暮天〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
野暮天の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「犯人」より 著者:太宰治
てはじめて味う本当にへんな誘惑であった。人間は死期が近づくにつれて、どんなに俗な
野暮天《やぼてん》でも、奇妙に、詩というものに心をひかれて来るものらしい。辞世の....
「酒中日記」より 著者:国木田独歩
父上が……」とそれからさわりで行くところだが、あの時はどうしてあの時分はあんなに
野暮天《やぼてん》だったろう。 浜を誰か唸《うな》って通る。あの節廻《ふしまわ....
「競馬」より 著者:織田作之助
い歳だろう。都ホテルや京都ホテルで嗅《か》いだ男のポマードの匂《にお》いよりも、
野暮天で糞真面目《くそまじめ》ゆえ「お寺さん」で通っている醜男《ぶおとこ》の寺田....
「旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
ま》見ただけでも身の内が、ぼッと熱くなる程な容色を持っているというのに、こういう
野暮天な人斬り亡者共にかかっては、折角稀れな美貌も一向役に立たぬとみえて、口汚な....
「街頭から見た新東京の裏面」より 著者:杉山萠円
すべての点に於て、田舎者や無教育なもの、又は無趣味なものと思われまい、そこいらの
野暮天と一所に見られまいという注意が、極めてこまかく払ってある。 亡国的の消極主....
「東京八景」より 著者:太宰治
は所謂、文才というものは無い。からだごと、ぶっつけて行くより、てを知らなかった。
野暮天である。一宿一飯の恩義などという固苦しい道徳に悪くこだわって、やり切れなく....
「浮雲」より 著者:二葉亭四迷
この通り顔色まで変えて御立腹だ。貴嬢《あなた》の情夫《いろ》にしちゃア些《ち》と
野暮天すぎるネ」 「本田」 昇は飲かけた「コップ」を下に置いて、 「何でゲス」....
「ドグラ・マグラ」より 著者:夢野久作
▼あ――ア。扨も気楽な精神病医者だよ。ならば治療の仕方はどうかと。心配するだけ
野暮天、素人。これも、やっぱり診察同様。盲目探りの真っ暗闇だよ。すぐに脳天砕かぬ....
「女難」より 著者:国木田独歩
ともできず、烈しい言葉すらあまり使わず、見たところ女などには近よることもできない
野暮天に見えますので、大工の藤吉が唐偏木で女の味も知らぬというのは決して無理では....
「銅銭会事変」より 著者:国枝史郎
な」 「瞞すと妾|狂人になるわ!」 二人はそこで寄り添おうとした。有難い事には
野暮天ではなかった。寄り添う代わりに坐り直した。と、お色がスッと立った。裏の障子....
「南国太平記」より 著者:直木三十五
早く、格子のところへ立って、往来へ叫んだが、姿も答えも無かった。
「親爺相伝の、
野暮天野郎だ。富士春――あいつを射落してみろ。男はよいし、身体はよいし、抱き甲斐....
「つづれ烏羽玉」より 著者:林不忘
――」 「ま、いいやな。だがなあ、安、てめえの情婦《いろ》のお蔦も、おれみてえな
野暮天にかかっちゃあ災難よなあ。おらあこれから三味線堀へ出向いて、お蔦を挙げてく....
「影」より 著者:岡本綺堂
めないんです。わたしは野暮な人間で……。 おつや 嘘つき……。(睨む。)あんたが
野暮天か道楽者か、その見分けが付かないようで、憚りながら芸妓の鑑札を持っていられ....
「鳴門秘帖」より 著者:吉川英治
い」 「どこへ」 「吉原さ」 万吉、思わず吹きだしそうになって、 「おじさんは
野暮天だから、まだ吉原を見たこともねえのさ。だが、まさかお前たちだって、あの廓の....