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野末
「野末〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
野末の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「武蔵野」より 著者:国木田独歩
ゃく》のものはない。山家の時雨は我国でも和歌の題にまでなっているが、広い、広い、
野末から
野末へと林を越え、杜《もり》を越え、田を横ぎり、また林を越えて、しのびや....
「少年の悲哀」より 著者:国木田独歩
のである。まだ宵《よい》ながら月は高く澄んで、さえた光を野にも山にもみなぎらし、
野末には靄《もや》かかりて夢のごとく、林は煙をこめて浮かぶがごとく、背《せ》の低....
「画の悲み」より 著者:国木田独歩
中自分はただ画板を提げたというばかり、何を書いて見る気にもならん、独りぶらぶらと
野末に出た。かつて志村と共に能く写生に出た
野末に。 闇にも歓びあり、光にも悲あ....
「出家とその弟子」より 著者:倉田百三
子供らしい声で歌う) 浅香三味線をひく。 萩、桔梗、なかに玉章しのばせて、 月は
野末に、草のつゆ。 君を松虫夜ごとにすだく。 ふけゆく空や雁の声。 恋はこうした....
「雷」より 著者:海野十三
渦を巻きつつ、東へ東へと走ってくる。 ピカリッ! 一閃すると見る間に、向うの
野末に、太い火柱が立った。落雷だ。 「……どうです、北鳴さん。私の家はすぐそこで....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
また言い掛けたが、青芒が川のへりに、雑木|一叢、畑の前を背|屈み通る真中あたり、
野末の靄を一|呼吸に吸込んだかと、宰八|唐突に、 「はッくしょ!」 胴震いで、....
「革鞄の怪」より 著者:泉鏡花
あった。 汽車に連るる、野も、畑も、畑の薄も、薄に交る紅の木の葉も、紫|籠めた
野末の霧も、霧を刷いた山々も、皆|嫁く人の背景であった。迎うるごとく、送るがごと....
「開扉一妖帖」より 著者:泉鏡花
遁げましたわ、知らぬ他国の奥州くんだり、東西も弁えない、心細い、畷道。赤い月は、
野末に一つ、あるけれど、もと末も分らない、雲を落ちた水のような畝った道を、とぼつ....
「化鳥」より 著者:泉鏡花
たりを※すと真暗で、遠くの方で、ほう、ほうッて、呼ぶのは何だろう。冴えた通る声で
野末を押ひろげるように、鳴く、トントントントンと谺にあたるような響きが遠くから来....
「安達が原」より 著者:楠山正雄
いましたが、折あしく原の中にかかって、見渡す限りぼうぼうと草ばかり生い茂った秋の
野末のけしきで、それらしい煙の上がる家も見えません。もうどうしようか、いっそ野宿....
「小春」より 著者:国木田独歩
るを待つらん若者あり。背低き櫨堤の上に樹ちて浜風に吹かれ、紅の葉ごとに光を放つ。
野末はるかに百舌鳥のあわただしく鳴くが聞こゆ。純白の裏羽を日にかがやかし鋭く羽風....
「備前天一坊」より 著者:江見水蔭
ら追掛けた。 それを横合から出て救ってくれた一人の若侍。これは御側小姓を勤める
野末源之丞というのであった。 それが縁となって、夜の京橋|上に源之丞が謡曲の声....
「親ごころ」より 著者:秋田滋
「ジャン! ジャーン!」 もう暮色が蒼然とあたりに迫っていた。夕靄が烟るように
野末にたち罩め、ものの輪廓が、ほの暗い、はるか遠方にあるように見えた。道ばたに三....
「ドモ又の死」より 著者:有島武郎
はいやだよ、そんなのは。僕らの芸術に先生がたの裏書きをしてもらうくらいなら、僕は
野末でのたれ死にをしてみせる。 とも子 えらいわ若様。 瀬古 ひやかすなよ。 ....
「小坂部姫」より 著者:岡本綺堂
、あっぱれ華々しい最期ともあることか、犬猫にも劣った見苦しい死に恥を晒して、屍は
野末に捨てらりょうぞ。」 半分は夢のような心持で聴き惚れていた小坂部は、彼が一....