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野犬
「野犬〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
野犬の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
都をわが物顔に、十二十と頭をそろえて、血のにおいに飢えて歩く、獰猛《どうもう》な
野犬の群れが、ここに捨ててあった疫病《えやみ》の女を、宵《よい》のうちから餌食に....
「白」より 著者:芥川竜之介
したところを、一匹の黒犬のために啣《くわ》え出された。市長は今後名古屋市に限り、
野犬|撲殺《ぼくさつ》を禁ずると云っている。
読売新聞。小田原町《おだわらまち....
「船医の立場」より 著者:菊池寛
しい怒涛が暗い岸の砂を噛んでいるだけだった。二人が、失望して茫然と立っていると、
野犬が幾匹も集って来て、けたたましく吠えた。 「泥棒をするのが難しいことが、初め....
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
生い茂っていた。その堤の松には首縊りの松などという忌な名の付いていたのもあった。
野犬が巣を作っていて、しばしば往来の人を咬んだ。追剥ぎも出た。明治二十四年二月、....
「武装せる市街」より 著者:黒島伝治
人の屍体がころがっている。 酸っぱい臭気! 無数の唸る蠅。 毛並の房々とした
野犬と、乞食が、舌なめずりをしながら、愉快げに、
野犬は尾を振り立てて屍体の間をう....
「橋」より 著者:池谷信三郎
カ」の曲に耳を傾けている。それからくるりと踵を返して、あの曲りくねった露路の中を
野犬のようにしょんぼりと帰ってくるのだった。 炭火のない暗い小部屋の中で、シャ....
「寄席と芝居と」より 著者:岡本綺堂
坊などは一向に恐れなかったが、暗い途中で犬に取り巻かれるのに困った。今日のように
野犬撲殺が励行されていないので、寂しい所には
野犬の群れが横行する。春木座へ行く時....
「娘煙術師」より 著者:国枝史郎
火の粉と月との真下の地上を、押し合い突き合いぶつかり合って、人の群れがあたかも
野犬かのように吠えて呻いて走り廻る。
と、一所に穴ができた。数人の人間が地に倒....
「おせん」より 著者:邦枝完二
――百|匹の蚊が一|度に臑にとまっても、痛さもかゆさも感じない程、徳太郎の眼は、
野犬のようにすわっていた。 「若旦那」 「黙って。――」 「黙ってじゃァござんせ....
「新案探偵法」より 著者:小酒井不木
天になって、研究に従事したのであります。 材料として犬が要る関係上、はじめ彼は
野犬を買っては研究して居ましたが、後には他人の飼犬をひそかに盗んで来てまで実験を....
「明治劇談 ランプの下にて」より 著者:岡本綺堂
。わたしは小さい肩をすくめて、朴歯の下駄をかちかちと踏み鳴らしながら路を急いだ。
野犬の群れに包囲されて、難儀したこともしばしばあった。 一度は十一月の暁、途中....
「三崎町の原」より 著者:岡本綺堂
生い茂っていた。その堤の松には首縊りの松などという忌な名の附いていたのもあった。
野犬が巣を作っていて、しばしば往来の人を咬んだ。追い剥ぎも出た。明治二十四年二月....
「一日一筆」より 著者:岡本綺堂
」といいながらふと見ると、白には頸環が附いている。黒斑の頸には何もない。「片方は
野犬だぜ」というと、友人は無言にうなずいて、互に顔を見合せた。 今、無心に睦じ....
「二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
詰らぬ奇禍を買って拘留された。当時哈爾賓では畜犬|箝口令が布かれ、箝口せざる犬は
野犬と見做されて撲殺された。然るに徳永商店では教頭の飼犬の中の一頭だけ轡を施こし....
「狐」より 著者:岡本かの子
しに出かけよう。その狐師の家はどこだね。 ――目黒不動裏の藪陰でございます。門に
野犬の皮が干してあるのが、七蔵の家。 ――しかと承知した。して、そなたが礼に来て....