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「野猫〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

野猫の前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
偸盗」より 著者:芥川竜之介
―兄きを罠《わな》にかけて――」 「じゃあなた殺せて?」 次郎は、沙金の目が、野猫《のねこ》のように鋭く、自分を見つめているのを感じた。そうして、その目の中に....
十二支考」より 著者:南方熊楠
ますが支那では「たぬき」のほかに学名フェリス・ヴィヴェリナ、フェリス・マヌル等の野猫をも狸と呼ぶ。したがって野狸に別《わか》たんとて猫を家狸と異名す。因って想う....
十二支考」より 著者:南方熊楠
ン、梵名|舎々迦《ささか》、独人モレンドルフ説に北京《ペキン》辺で山兎、野兎また野猫児と呼ぶとあった。吾輩幼時和歌山で小児を睡《ねむ》らせる唄《うた》にかちかち....
幽霊塔」より 著者:黒岩涙香
しませんから、人様の前などへは余り無躾で出られません」狐猿とは狐と猿に似た印度の野猫で、木へも登り、地をも馳け、鳥をも蛇をも捕って食う動物だが何うかすると人に懐....
ねずみと猫」より 著者:寺田寅彦
かった。猫さえ見れば手当たり次第にものを作って生けがきのぬけ穴に仕掛け、何匹かの野猫を絞殺したりした。甥のあるものは祖先伝来の槍をふり回して猫を突くと言って暗や....
備忘録」より 著者:寺田寅彦
渉のあるシーンといったようなものを空想させた。丸裸のアダムに飼いならされた太古の野猫のある場合の挙動の遠い遠い反響が今目前に現われているのではないかという幻想の....
十二支考」より 著者:南方熊楠
漢の東方朔の『十洲記』には南海中の炎洲に風生獣あり、豹に似て青色、大きさ狸(野猫)のごとし、網で捕えて薪《まき》数車を積み焼くに、薪尽きても燃えず灰中に立ち....
百姓弥之助の話」より 著者:中里介山
思い出させるような物すごい形相《ぎょうそう》になっている。この一疋《いっぴき》の野猫に散々手こずらされては居たが、それでもこの野良者の存在は鼠よけの為には予期し....
道成寺(一幕劇)」より 著者:郡虎彦
たが、気づかぬうちに声もやんだような。だが今夜こそ峰から谷へ幾めぐり、爪を立てた野猫のようにはせめぐっても片時落ちついてなぞいられまいわ。 妙海 (にわかにある....
世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
びめぐり、遠い森には夜の鳥が人をおびやかすように叫び、また折りおりは燐光のような野猫の眼の輝くのを見ました。 馬は鬣をだんだんにかき乱して、脇腹には汗をしたた....
生死卍巴」より 著者:国枝史郎
に、華やかに飾られて拡がっていて、その草の花の間から、また灌木の花の間から、兎や野猫や黄鼬などが、いぶかしそうに顔を覗かせ、侍女達の方を窺った。それらの物の上に....