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野獣
「野獣〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
野獣の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
うす甘い※《におい》が快く暖な空気に漂っていた。
その内に食事の仕度が出来た。
野獣の肉、谷川の魚、森の木《こ》の実《み》、干《ほ》した貝、――そう云う物が盤《....
「或る女」より 著者:有島武郎
がシヤトルであるに違いない。うらさびしく秋風の吹きわたるその小さな港町の桟橋に、
野獣のような諸国の労働者が群がる所に、この小さな絵島丸が疲れきった船体を横たえる....
「或る女」より 著者:有島武郎
倉地はもう熱情に燃えていた。しかしそれはいつでも葉子を抱いた時に倉地に起こる
野獣のような熱情とは少し違っていた。そこにはやさしく女の心をいたわるような影が見....
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
た香と積肥《つみごえ》の香が擅《ほしいまま》にただよっていた。小屋の中にはどんな
野獣が潜んでいるかも知れないような気味悪さがあった。赤坊の泣き続ける暗闇の中で仁....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
「あぶねえ」 「ぽきりっ」 というけたたましい声を同時に君は聞いた。そして同時に
野獣の敏感さをもって身構えしながら後ろを振り向いた。根もとから折れて横倒しに倒れ....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
ように見える。 本能とは大自然の持っている意志を指すものと考えることが出来る。
野獣にはこの力が
野獣なりに赤裸々に現われている。自然科学はその現われを観察して、....
「クララの出家」より 著者:有島武郎
も甦った。クララはそんな時には大好きな母の顔さえ見る事を嫌った。ましてや父の顔は
野獣のように見えた。いまに誰れか来て私を助けてくれる。堂母の壁画にあるような天国....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
婦人たちがそれで間に合わせなければならなかったかも知れない。男子らはその仕留めた
野獣や魚の過剰なものよりしか婦人たちには与えなかったろうと思われるからである。そ....
「少年探偵長」より 著者:海野十三
」 首領四馬剣尺は、大きな腹をゆすってわらった。机博士は、まるでおいつめられた
野獣のような顔をして、三重ヴェールを見つめていたがやがてキーキー声をふりしぼって....
「怪星ガン」より 著者:海野十三
の胸をたたきわらんばかりに打った。そしておそろしい声でうなった。それはどうしても
野獣の叫び声としか思われなかった。 大異変 ギンネコ号では怪人ガスコの命....
「海底都市」より 著者:海野十三
した。手に手に異様な凶器《きょうき》を持ち、目玉をむき出し歯をむき出して、怒れる
野獣群のように僕を目がけてとびついた。 何條《なんじょう》もってたまるべき、僕....
「恐竜島」より 著者:海野十三
黄色にかがやいている。まぎれもなき金貨だ。フランソアは、後のラルサンに手渡した。
野獣のにおいがする。甘いような、すっぱいような、なんともいえぬ香りだ。 「しっ」....
「沼畔小話集」より 著者:犬田卯
には二人の子供があった。長男は十四歳で次の女の子は十二歳のはずだった。彼らは全く
野獣化して、他家の果樹へよじ登ったり、畑のものを失敬したりして生きていた。親戚で....
「二葉亭余談」より 著者:内田魯庵
もあろうが、夙くから文章を軽蔑する極端なる非文章論を主張し、かつて紅葉から文壇の
野獣視されて、君の文章論は狼の遠吠だと罵られた事があるくらい、文章上のアナーキス....
「戦争史大観」より 著者:石原莞爾
の真価が分る。北清事変で各国の軍隊が各警備の縄張りをきめたこの時ほど西欧の軍隊の
野獣的なる行為に比べ皇軍の仁愛あふるる軍規と施設の真価が発揮せられた事はあるまい....