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「野育ち〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

野育ちの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
ろまん灯籠」より 著者:太宰治
な愛撫の中でわがまま一ぱいに育てられ、森の烏や鹿を相手に遊んで来た、謂《い》わば野育ちの子でありますから、その趣味に於いても、また感覚に於いても、やはり本能的な....
明暗」より 著者:夏目漱石
現に不安を感じているらしかった。それは一種の反感と、恐怖と、人馴《ひとな》れない野育ちの自尊心とが錯雑《さくざつ》して起す神経的な光りに見えた。津田はますます厭....
三浦老人昔話」より 著者:岡本綺堂
んなわけで、碌々に手習の師匠に通ったのでも無し、誰に教えられたのでも無く、云わば野育ち同様に育って来たのですが、不思議にこの姉弟は親思い、姉思い、弟思いで、おた....
丹下左膳」より 著者:林不忘
慰みとしても、チトどうもお見苦しくは……」 「イヤ、さような儀ではない。いたって野育ちの女芸人、余にチト考えがあって、かように虜《とりこ》にいたしておくのじゃ。....
平凡」より 著者:二葉亭四迷
達が無教育無理想であったばかりに、型に推込まれる憂目《うきめ》を免《のが》れて、野育ちに育った。野育ちだから、生来具有の百の欠点を臆面もなく暴《さら》け出して、....
百姓弥之助の話」より 著者:中里介山
下するばかりです、どうしても肥料に金を懸けなければ駄目です」 「肥料をやらないで野育ちにという訳では無い、成可《なるべ》く金肥をつかわないでやれないか如何《どう....
カラマゾフの兄弟」より 著者:ドストエフスキーフィヨードル・ミハイロヴィチ
手で育てられたが、グリゴリイの言いぐさではないが、『まるで恩知らず』に成長して、野育ちの子供らしく隅《すみ》っこから世間をうかがうようにしていた。小さいころに彼....
織田信長」より 著者:坂口安吾
や四度の戦勝が、まことの自信をもたらしてくれるものではない。信長には持って生れた野育ちの途方もないウヌボレがあった。それと同量の不安があった。このウヌボレをまこ....
放浪記(初出)」より 著者:林芙美子
やしにだって可憐な白い花が咲くって事を、先生は知らないのかしら……。 奥さんは野育ちな人だけに、眠った様な女だったが、この家では一番好きだった。 十二月×日....
幕末維新懐古談」より 著者:高村光雲
を呈して来るものかと思いました。 白猿の当てははずれたが仕方なく、考えを変えて野育ちの老猿を彫ることにしました。とても仕事場へ運んで屋根の下で仕事をすることは....
アッタレーア・プリンケプス」より 著者:ガールシンフセヴォロド・ミハイロヴィチ
ジルへ行ったってめったには見られませんよ。私どもは、植物たちが温室の中にいても、野育ちの場合とまったく同様に思うさま伸びられるように、知能を傾けたものですが、私....
飛騨の怪談」より 著者:岡本綺堂
然うだろう。能く考えて御覧。」 再び考えろと云われて、重太郎は又考えた。いかに野育ちの彼でも多少の理屈は呑込めるのである。加之も是はお葉の説教である。復讐に凝....
みつばちのきた日」より 著者:小川未明
い国の生まれでしょう。だからそうお思いなされるんですけれど、わたしなどは、元来が野育ちなのですから、やはり風に吹かれたり、おりおりは、雨にもさらされたほうが、し....
」より 著者:神西清
な方がたに御眼にかかれた嬉しさに、睡気も醒めてしまいました。私は百姓で、片田舎の野育ちで、礼儀も何も忘れました。けれど皆さん、私はやはり今でもその、知識人なんで....
はつ恋」より 著者:神西清
子もやっぱり、ヴォロージャっていうのよ。どうぞ、可愛がってやってちょうだい。まだ野育ちだけれど、気だてはいいのよ。ネスクーチヌィ公園でも見せてやって、一緒に散歩....