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「野良猫〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

野良猫の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
しがって、その意趣返しに一度相手を弄ってやろうと思った。かれは家を出るときに黒い野良猫を絞め殺して、その死骸をふところに忍ばせていると、それがうまく図にあたって....
二、三羽――十二、三羽」より 著者:泉鏡花
襟よりも白かった。 夜ふかしは何、家業のようだから、その夜はやがて明くるまで、野良猫に注意した。彼奴が後足で立てば届く、低い枝に、預ったからである。 朝寝は....
婦系図」より 著者:泉鏡花
と、皆欲がるンだから……」 「これ、」 旦那様苦い顔で、 「端近で何の事たい、野良猫に扱いやあがる。」 「だっ……て、」 「め組も黙って笑ってる事はない、何か....
吉原新話」より 著者:泉鏡花
、皆たま(猫の名)のお友達で、私は声を知ってるんですけれど……可厭な声ね。きっと野良猫よ。」 それと極っては、内所の飼猫でも、遊女の秘蔵でも、遣手の懐児でも、....
化銀杏」より 著者:泉鏡花
、近所中で眼を着けて、晩のお菜まで知ってるじゃあないかね。大嫌な猫がまた五六疋、野良猫が多いので、のそのそ入って、ずうずうしく上り込んで、追ってもにげるような優....
怨霊借用」より 著者:泉鏡花
赤鬼の形相のままで、蝙蝠を吹かしながら、射的店へ話をつけた。此奴は褌にするため、野良猫の三毛を退治て、二月越内証で、もの置で皮を乾したそうである。 笑話の翌朝....
淪落の青春」より 著者:坂口安吾
けれども、同じ屋根の下にいるから、子供たちは、こっちの物を盗み食いする。野良犬、野良猫と変りはない。それを人間の子供のように待遇するのは、まことに不快な問題であ....
街はふるさと」より 著者:坂口安吾
らないそうですね。青木さんから、おききしました。私も告別式には行きませんでした。野良猫のようにこの町にうろつくようになってからの短い月日は、私の一生にこの上もな....
白髪鬼」より 著者:岡本綺堂
ているので、あした食うことにして台所の戸棚にしまっておいた。この近所に大きい黒い野良猫がいる。それがきょうの午前中に忍び込んできて、女中の知らない間に蒲焼の一と....
雪の夜」より 著者:織田作之助
を探すにも先ず安いところをという、そんな情ない境遇を悲しんでごたごたした裏通りを野良猫のように身を縮めて、身を寄せて、さまよい続けていたのだった。 やはり冬の....
式部小路」より 著者:泉鏡花
をして甞めねえぜ、盗賊ア、盗賊ア、盗賊ア、」 と大音を揚げて、 「叱! どこの野良猫だ、ニャーフウー」 一杯に頬を膨らし、呻って啼真似をすると、ごく低声、膳....
卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
かった結綿は、袖を刎ね、褄をはらりと乱して台所へ振向いた。 「あれえ、お勝手へ、野良猫が。」 谺を返したと見える。 雪代がちょっと襟を合わせながら、 「お母....
二階から」より 著者:岡本綺堂
いに浮かれあるく恋猫の痩せた姿を見るようなことは甚だ稀です。ただ折々に何処からか野良猫がさまよって来ますが、この闖入者は棒や箒で残酷に追い払われてしまいます。夜....
」より 著者:カフカフランツ
になっているのを見ることができたっていうわけです。ことにあの色の黒い、ほんとうの野良猫といっていいやつが、あなたのために力を入れていましたね。ところで、人にはそ....
婚期はずれ」より 著者:織田作之助
て商船会社に勤めていたが、五尺たらずゆえ二十一歳とは見えなかった。ある日、座敷に野良猫がのっそりはいって来るのを見て、敬二郎は、ああ怖やの、おーきイな猫が来よっ....