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野花
「野花〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
野花の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「ゼーロン」より 著者:牧野信一
ことの出来なかった驚くべき臆病さである。 これにはじめて勢いを得たゼーロンは、
野花のさかんな河堤をまっしぐらに駆け出したのである。私は、この時とばかりに努めて....
「茶の本」より 著者:岡倉覚三
生けて、上の壁には相阿弥の描いた鴨の空を飛ぶ絵をかけた。紹巴という茶人は、海辺の
野花と漁家の形をした青銅の香炉に配するに、海岸のさびしい美しさを歌った和歌をもっ....
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
白くなった。しかし秋の夜はまだ明けない。虫が降るように鳴いている。咲き乱れている
野花の香が、野一杯に充ちている。富士は背後に聳えている。本栖湖は前に拡がっている....
「新版 放浪記」より 著者:林芙美子
た男が思い出されたけれども、ああ七月の空に流離の雲が流れている。あれは私の姿だ。
野花を摘み摘み、プロヴァンスの唄でもうたいましょう。
(八月×日)
女給達に....
「神秘昆虫館」より 著者:国枝史郎
締め!」は底本では「ひと締め!」] 馬を締めた! タッタッタッ! タッタッタッ!
野花を蹴散らし砂塵を上げ、走る走る驀地《まっしぐら》! 怒りとそうして驚きとを....
「踊る地平線」より 著者:谷譲次
私に作用しつつあるのだ。 私たちだって、旅行者のもつ俗な善意と口笛の気軽さで、
野花とみどりの斜面と羊のむれのケント州の心臓を走って、「ある日大きな倫敦へ愛蘭人....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
ん? 白雲先生ではないが、旧書をたずさえ取って旧隠《きゅういん》に帰る……」
「
野花啼鳥《やかていちょう》一般《いっぱん》の春《はる》、か」
と忠相がひきとる....
「父母に対する私情」より 著者:豊島与志雄
な河原なんかに、夕凉みのそぞろ歩きをすることもあった。そんな時、夕映の空や河原の
野花などを眺めながら、父母は私の今後の生活について話したかったろうし、私も自分の....
「生死卍巴」より 著者:国枝史郎
かにかかっていて、その中に太陽が燃えながら、地上の一行を眺めていた。 手に手に
野花を握り持って、楽しそうに歌いながら歩いて行く群の、女達十三人の姿というものは....
「放浪記(初出)」より 著者:林芙美子
いと》しがって呉《くれ》る人はないか、七月の空に流離の雲が流れている、私の姿だ。
野花を摘み摘みプロヴァンスの唄を唄った。 八月×日 女給達に手紙を書いてやる....
「朱絃舎浜子」より 著者:長谷川時雨
『明星《みょうじょう》』の五人の女詩人、鳳晶子《おおとりあきこ》、山川登美子、玉
野花子、茅野雅子《ちのまさこ》と並んで秀麗《うつく》しい女《ひと》であって、玉琴....
「文学に現れたる東北地方の地方色」より 著者:佐左木俊郎
は少なし。中国の山は立てり、東北の山は横はれり、紫苑の花萩の花女郎花もしくは秋草
野花をもてかざりとなせる宮城野の一望千里雲烟の間に限り無きが如きは、独り東北の地....
「郷愁の詩人 与謝蕪村」より 著者:萩原朔太郎
う》とした山野の中を、孤独に寂しく漂泊していた旅人芭蕉が、あわれ深く優美に咲いた
野花を見て、「笠《かさ》に挿すべき枝のなり」と愛《いとお》しんだ心こそ、リリシズ....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
をわかたず、みな黄白色なり。青草緑苔、石上に敷き、また灌木の渓畔に横たわるあり、
野花の岸頭に笑うありて、実に仙境の趣をなす。石径を攀ずること三十分間にして、天然....
「仙術修業」より 著者:田中貢太郎
彷うているうちに精根が尽きて倒れる者もあった。そうした死骸に往き当ると穴を掘り、
野花を供えて懇に埋めてやった。 大森林、大|谿谷、奔湍、風の音、雨、山をつんざ....