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野趣
「野趣〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
野趣の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「星座」より 著者:有島武郎
知らずば教えてつかわそう。サムソンというんだ」
綺麗な疳高《かんだか》い、少し
野趣《やしゅ》を帯びた笑声が弾《はじ》けるように響いた。皆んながおたけの方を見た....
「浜菊」より 著者:伊藤左千夫
が感じてる様な趣味は解らしない。何にしろ君そんなによくば沢山やってくれ給え」 「
野趣というがえいか、仙味とでも云うか。何んだかこう世俗を離れて極めて自然な感じが....
「三浦老人昔話」より 著者:岡本綺堂
って、このごろはよほど伸びた長い葉があさ風に青く乱れているのも、又おのずからなる
野趣がないでもない。三浦老人の旧宅にも唐蜀黍が栽えてあって、秋の初めにたずねてゆ....
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
をまん丸く刈り込んだりしてあるのは、折角ながら却っておもしろくない。やはり周囲の
野趣をそのまま取り入れて、あくまでも自然に作った方がおもしろい。長い汽車旅行に疲....
「旅行の今昔」より 著者:幸田露伴
野を横に汽車引むけよ郭公」とも云われない始末で、旅行に興味を与える主なる部分の「
野趣」というものは甚だ減殺されて来たようです。と云って風雅がって汽車の線路の傍を....
「夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
れぬ鬱悶を消する玩具であろう。不平もあれば皮肉もある。嫌味も交る。しかしそこには
野趣がある。鴎外はここではじめて胸襟を開いて見せる。いわば羽目を外すのである。鶴....
「沙漠の古都」より 著者:国枝史郎
。城壁に沿うて丈なす草が、人に苅られず生い茂り、乏しい紅白の草花が咲いているのも
野趣がある。昔、戦国の世の時代に、養う食客三千人と、世上の人に謳われた、春申君と....
「我家の園芸」より 著者:岡本綺堂
るのもあるが、皆それぞれに面白い。由来、へちまとした所に一種の俳味があり、一種の
野趣があることを知らなければならない。その実ばかりでなく、大きい葉にも、黄い花に....
「薬前薬後」より 著者:岡本綺堂
葉をまん丸く刈り込んだりしてあるのは、折角ながらかえって面白くない。やはり周囲の
野趣をそのまま取入れて、あくまでも自然に作った方が面白い。長い汽車旅行に疲れた乗....
「雑煮」より 著者:北大路魯山人
じんとか、だいこん、いもなどを入れる方がよいだろう。いもなども、原形のままの方が
野趣があっておもしろい。なにか変わった趣を添えたいような場合には、いもに角目を立....
「金山揷話」より 著者:大鹿卓
小さい目のとぼけた表情が、なんとも愛嬌のあるものだった。 「これはなかなか独特の
野趣がある。おもしろいじゃないか」 私達はそんなことにも旅先らしい興趣をおぼえ....
「詩の精神は移動す」より 著者:小川未明
の上に求めるより外になかったからである。所謂牧歌的のものはそれでいい。それらには
野趣があるし、又粗野な、時代に煩わされない本能や感情が現われているからそれでいい....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
昆虫ばかりの中に立ち交っているので、身のまわりなぞは清潔にはしているが、少くとも
野趣そのままにちがいなかった。それがアルパカの黒背広に黒の小さな鞄を肩から引き掛....
「猪の味」より 著者:北大路魯山人
、なんの味もないのは情けない。猪はもちろん肉の味もよいが、そればかりでなく、あの
野趣を帯びた香味を尊ぶ。然るに、こう煮てしまっては、肉の香味は愚かなこと、味さえ....
「本所両国」より 著者:芥川竜之介
の桜餅は――勿論今でも昔のように評判の善いことは確かである。しかし※や皮にあった
野趣だけはいつか失われてしまった。…… 川蒸汽は蔵前橋の下をくぐり、厩橋へ真直....