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野鄙
「野鄙〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
野鄙の前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「こころ」より 著者:夏目漱石
苦痛はいっそう甚《はなはだ》しいように想像された。しかし私は父や母の手前、あんな
野鄙《やひ》な人を集めて騒ぐのは止せともいいかねた。それで私はただあまり仰山だか....
「霊感!」より 著者:夢野久作
かけて出来ないし、それかといって昔物語にあるように、娘を賭けて競争をさせるような
野鄙な事もさせられない。……又、よしんば何とかした都合のよい方法で、二人の中の一....
「純粋小説論」より 著者:横光利一
て、自己身辺の事実のみまめまめしく書きつけ、これこそ物語にうつつをぬかすがごとき
野鄙な文学ではないと高くとまり、最も肝要な可能の世界の創造ということを忘れてしま....
「十二支考」より 著者:南方熊楠
洋人には、遥かに西洋人に優れた香の知識があったので、自分らには解らぬ事を下等とか
野鄙《やひ》とか卑蔑するのが今日西洋の文化或る点において退却を始めおる徴《しるし....
「十二支考」より 著者:南方熊楠
トンの豕はオルガンを奏すという俚語あり。以前その地の住民|怪《け》しからず粗暴|
野鄙《やひ》だったに付けて、似合わぬ事の喩えの諺とカムデンは言った。レイの説には....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
た。自動書記は一八八〇年まで連続的に現れたが、その中に気軽な冗談とか、洒落とか、
野鄙な文句とか、頓珍漢な理窟とか、嘘や出鱈目とかは、私の知れる限りに於て、全然痕....
「女大学評論」より 著者:福沢諭吉
するに声色を温雅にするは上流社会の態度に於て自然に然る可し。我輩に於ても固より其
野鄙粗暴を好まず、女性の当然なりと雖も、実際不品行の罪は一毫も恕《ゆる》す可らず....
「新女大学」より 著者:福沢諭吉
は三味線に撥《ばち》を打付《ぶちつ》けてコリャサイなど囃立《はやした》つるが故に
野鄙《やひ》に聞ゆれども、三十一文字も三味線に合してコリャサイの調子に唄えば矢張....
「妾の半生涯」より 著者:福田英子
尊敬の念も起り、時には氤※《いんうん》たる口気《こうき》に接して自《おの》ずから
野鄙《やひ》の情も失《う》せ、心ざま俄《にわか》に高く品性も勝《すぐ》れたるよう....
「草と虫とそして」より 著者:種田山頭火
を舐めつくして、私にお詫言葉の蘊蓄を傾けさせた。 蜚※《あぶらむし》ほど又なく
野鄙なるものはあらじ。譬へば露計りも愛矜《あいけう》なく、しかも身もちむさむさし....