野風[語句情報] »
野風
「野風〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
野風の前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「坑夫」より 著者:夏目漱石
間《みけん》から血が出るに違ないと思うと、松原をあるくように、ありったけの背で、
野風雑《のふうぞう》にゃやって行けない。おっかないから、なるべく首を肩の中へ縮め....
「石狩川」より 著者:本庄陸男
阿賀妻はそう云ってふり返った。下小屋を出外れようとするとこで、人々のざわめきは
野風のように聞えていた。うしろにいた松岡は唾をのみこんだ。瞼《まぶた》のあたりを....
「図書館」より 著者:宮本百合子
を着た中爺さんは、首だけで合点して、そう、と答えた。この役人風な調子も、やはり上
野風である。戦争でやけてしまわなかった図書館をよろこんで珍しく眺め直すこころもち....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
ことに、こっそり戸をあけて、もう一度様子を見ようとまで気がゆるんだ時に、ようやく
野風のさわぐ音。 この間、いのじヶ原には、灰色の雲がいっぱいに立てこめて来まし....
「尹主事」より 著者:金史良
版圖はいつの間にか紡績工場の基地として占領され、方々に赤い旗や白い旗が立ち並んで
野風にひらめいていた。そこここに歸り支度をすましたらしい五六人宛の職人が焚火を圍....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
央に、浪人とも修験者《しゅげんじゃ》とも得体の知れない総髪《そうはつ》の男が、山
野風雨の旅に汚れきった長半纒《ながはんてん》のまま、徳利を枕に地に寝そべって、生....
「稚子法師」より 著者:国枝史郎
はならぬ、やがて参れ――そこでお前に頼みがある。馬を二頭送ってくれい〈山風〉と〈
野風〉の二頭をな」 「かしこまりましてござります」――斯う云うと主水は頭を下げた....
「北斗帖」より 著者:違星北斗
夜 春浅き鰊の浦や雪五尺 鰊舟の囲ほぐしや春浅し 尺八で追分吹くや夏の月 夏の月
野風呂の中で砕けけり 蛙鳴くコタンは暮れて雨しきり 伝説の沼に淋しき蛙かな 偉い....
「錦紗」より 著者:犬田卯
雀、茶株で啼く頬白、ああ、春ももうあといくらもないのだ。菜の花の匂いを送ってくる
野風に肌をなぶらせつつ、いつか彼女はぼんやりと考えこんでしまっていた。 午後も....
「宮本武蔵」より 著者:吉川英治
体を寸暇もなく忙殺させる。彼は、寺詣りを口実に、ここへ遁れてくるのかもしれない。
野風呂を浴びて、田舎醸りの一|酌をかたむけた後、手枕のうつらうつらに、蛙の声を聞....
「随筆 宮本武蔵」より 著者:吉川英治
には、似てもいないのが多いからひどい。 禅家の書の落款を入れ替えたもの、或は狩
野風の無落款な時代物へ印章を後から加えた物などは、まあまあいい方というくらいであ....