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野鴨
「野鴨〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
野鴨の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「逆行」より 著者:太宰治
まえまでには、ひとつがいの鶴が遊んでいた。いまでも、この草むらには蛇がいる。雁や
野鴨《のがも》の渡り鳥も、この池でその羽を休める。庭園は、ほんとうは二百坪にも足....
「女の決闘」より 著者:太宰治
下町へ出かけ、ある店の飾り窓の前に、ひたと吸いついて動かなんだ。その飾り窓には、
野鴨《のがも》の剥製《はくせい》やら、鹿の角やら、いたちの毛皮などあり、私は遠く....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
そこでイルマタールは嵐に煽られて七〇〇年の間波の上を浮び歩いている。そこへ一羽の
野鴨が波の上を飛んできてどこかへ巣を作ろうとして場所を捜す。イルマタールが水中か....
「石狩川」より 著者:本庄陸男
》みこんだ。黄泥色の濁りに底うなりを立てて蠢動《しゅんどう》して行った。ときどき
野鴨《のがも》の群れが羽ばたいて翔《と》び立った。
ただひとつ、用心ぶかく、手....
「猿面冠者」より 著者:太宰治
だまっているものだそうでございます。人の話に依りますと「ヘルマンとドロテア」も「
野鴨」も「あらし」も、みんなその作者の晩年に書かれたものだそうでございます。ひと....
「無題(八)」より 著者:宮本百合子
tel Hajek の庭 日覆の下の卓で昼餐。地酒の冷した白葡萄酒、鮎に似た魚、
野鴨の雛、美味いライス、プディングをたべた。 小さい門、リラの茂、薄黄色模様の....
「宝島」より 著者:佐々木直次郎
遠眼鏡山の輪廓はもやもやとして震えて見えた。 突然、蒲の間がざわざわし始めた。
野鴨が一羽ぐわあと鳴いて飛び立ち、続いてまた一羽また一羽と、間もなく沼の全表面の....
「醜い家鴨の子」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
なおも遠く飛んで行きますと、そのうち広い広い沢地の上に来ました。見るとたくさんの
野鴨が住んでいます。子家鴨は疲れと悲しみになやまされながらここで一晩を明しました....
「だいこん」より 著者:久生十蘭
イ・ア・ラ・モード……オヴンのスープ煮込《スタッグ》の中で玉葱と人参をあしらった
野鴨がぐつぐつ音をたててあなたの帰りを待っています。あなたのジュリアンが、あなた....
「平賀源内捕物帳」より 著者:久生十蘭
っぽん》の肉羹《スープ》が出、つづいて牛脇腹《うしわきはら》の油揚《コツレツ》、
野鴨全焼《ローチ》という工合に次から次に珍味|佳肴《かこう》が運び出される。阿蘭....
「精」より 著者:マクラウドフィオナ
着る身となった、そして、削がれた樹の枝や海豹《あざらし》の毛のほそい束《ふさ》や
野鴨や鵞鳥《がちょう》の羽じくを以て仔羊の皮や巻物に聖い御言葉をかくことも出来、....
「漁師」より 著者:マクラウドフィオナ
、死が来るのだ。燕は北から近よって来る影に向って羽をあげて飛ぶ季節を知っている、
野鴨は日のうしろに雪のにおいがすれば、それを嗅ぎつける、山々のかげのくらい沢水に....
「妻」より 著者:神西清
彼女に私の言うことを信じさせるには、どうしたらいいのか。捕えられて私を憎んでいる
野鴨に、私は彼が大好きで彼の苦しみに同情しているなどと、どうして納得させることが....
「野草雑記・野鳥雑記」より 著者:柳田国男
猟友|倶楽部がその片端を使って、夏分の射撃の練習場にしている。静かな番人の親子が
野鴨の子などを飼っている。そこまで出かけぬとこの鳥は聴くことが出来ない。通例五月....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
た。この白秋の童謡を。あの夫人は音楽家だ。 吹雪の晩です。夜ふけです。 どこかで
野鴨が啼いてます。 燈もちらちら見えてます。 わたしは見てます。待つてます。 何....