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「野鼠〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

野鼠の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
南島譚」より 著者:中島敦
根|葺《ふ》きに、家具類の製作に、目が廻る程忙しい。此の男の皮膚はスコールの後の野鼠の様に絶えず汗でびっしょり濡れている。昔から女の仕事と極《き》められている芋....
文字禍」より 著者:中島敦
が次第に少しずつ判って来た。文字の精霊の数は、地上の事物の数ほど多い、文字の精は野鼠《のねずみ》のように仔《こ》を産んで殖《ふ》える。 ナブ・アヘ・エリバはニ....
渾沌未分」より 著者:岡本かの子
よりほか二人の生きて行く道はないのか……。 船虫が蚊帳の外の床でざわざわ騒ぐ。野鼠でも柱を伝って匍い上って来たのだろうか。小初は団扇で二つ三つ床を叩いて追う。....
千曲川のスケッチ」より 著者:島崎藤村
の中に、私は流れる砂を想像してみた。しばらく私はその音を聞いていた。しかし、私は野鼠のように、独りでそう長く草の中には居られない。乳色に曇りながら光る空なぞは、....
神鷺之巻」より 著者:泉鏡花
のに、切味の鋭さは、月の影に翔込む梟、小春日になく山鳩は構いない。いたずらものの野鼠は真二つになって落ち、ぬたくる蛇は寸断になって蠢くほどで、虫、獣も、今は恐れ....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
ことを学者は珍重する。食物にも選り嫌いというものが少なく、小鳥も食い、蛇も食い、野鼠も食い、魚類も食い、昆虫も食い、蝸牛《かたつむり》も、田螺《たにし》も食うか....
ガリバー旅行記」より 著者:スウィフトジョナサン
えで、これは肉食動物だと言いだしました。ところが、大がいの獣は私より強いのです。野鼠でも私より敏捷でした。これでは、かたつむりか虫でも食べるのでなければ、生きて....
レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
を知っていた。また養兎《ようと》場に天竺鼠《てんじくねずみ》を置いてそのにおいで野鼠の来るのを防がした。 ある日彼は、その地方の人々が一生懸命に蕁麻《いらぐさ....
話の種」より 著者:寺田寅彦
えておいて欲しい時に出して食い、殻は巣の内外に積んでおく。また作物を荒らす有害な野鼠や虫類なども捕って食うので農夫にとっては非常に有益なものだそうな。 (明治四....
血曼陀羅紙帳武士」より 著者:国枝史郎
か。 常磐木と花木と落葉樹との林が立っている。鳥が翔け過ぎ、兎が根もとを走り、野鼠が切り株の頂きに蹲居り、木洩れ陽が地面に虎斑を作っている。 そういう世界を....
」より 著者:岡本綺堂
死骸のまわりを一匹の灰色の小鼠が駈けめぐっていたとのことであるが、それはそこらの野鼠が血の匂いをかいで来たので、お元の鼠とは別種のものであろう。 お元の消息は....
駅夫日記」より 著者:白柳秀湖
年の立派な姿を見るたびに、何ともいわれぬ羨ましさと、また身の羞かしさとを覚えて、野鼠のように物蔭にかくれるのが常であった。永い間通っているものと見えて、駅長とは....
」より 著者:佐藤垢石
らえて食ったという。 中国の鯰は、頭は水中に置き、尻尾を岡へ出して置く。そこへ野鼠がやってきて、結構なご馳走であるとばかりその尻尾へ噛みつくと、その途端に鯰は....
火と氷のシャスタ山」より 著者:小島烏水
からは、成金を夢見る山師たちが、鶴嘴をかついで、ほうほうたる髯面を炎熱に晒して、野鼠の群のように通行したところで、今では御伽話か、英雄譚の古い舞台になっている。....
文化線の低下」より 著者:小川未明
バーンズの詩の中に、野鼠について、うたったのがある。人間は、お前達が、畠のものを食べるといって、目の....