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金丹
「金丹〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
金丹の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「HUMAN LOST」より 著者:太宰治
七夜あそんだならば、少しは人が変ります。豚箱などは、のどかであった。越中富山の万
金丹《まんきんたん》でも、熊の胃でも、三光丸でも五光丸でも、ぐっと奥歯に噛みしめ....
「父帰る」より 著者:菊池寛
とが好きであったんや。あんなに借金ができたのも道楽ばっかりではないんや。支那へ千
金丹を売り出すとかいうて損をしたんや。 賢一郎 (やや不快な表情をして)おたあさ....
「高野聖」より 著者:泉鏡花
なさいよ。
ここに居て、さっきから休んでござったのが、右の売薬じゃ。このまた万
金丹《まんきんたん》の下廻《したまわり》と来た日には、ご存じの通り、千筋《せんす....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
れほど町にふえて来たと言って見ることもできないくらいで、四、五人ずつ隊を組んだ千
金丹売りの白い洋傘が動いて行くのも彼の目についた。新旧の移動が各自の生活にまで浸....
「渋江抽斎」より 著者:森鴎外
うという念がないから、知行より外の収入は殆どなかっただろう。ただ津軽家の秘方一粒
金丹というものを製して売ることを許されていたので、若干の利益はあった。 抽斎は....
「爆弾太平記」より 著者:夢野久作
ったが、その時の吾輩の資本というのが、牛乳配達をして貯蓄した十二円なにがしと、千
金丹二百枚の油紙包みと来ているんだから、正に押川春浪の冒険小説だろう。 ……ウ....
「涙香・ポー・それから」より 著者:夢野久作
んが家々に投げ込んで行く手紙が、どこから来るのか一々たしかめてみたくなったり、千
金丹売りや新四国参りのお遍路さんは、どこから来てどこへ帰るのかと、うるさくお祖母....
「物売りの声」より 著者:寺田寅彦
に結びついて忘られないものもかなり多数にある。 夏になると徳島からやって来た千
金丹売りの呼び声もその一つである。渡り鳥のように四国の脊梁山脈を越えて南海の町々....
「照葉狂言」より 著者:泉鏡花
いう名だからさ。私がね、小さい時、万はもう大きな身をして、良い処の息子の癖に、万
金丹売のね、能書を絵びらに刷ったのが貰いたいって、革鞄を持って、お供をして、嬉し....
「善悪両面鼠小僧」より 著者:国枝史郎
子に瓦家根、右の方は板流し! 程よい所に石の井戸、そうかと思うと格子の側に朝熊万
金丹取次所と金看板がかかっている。所は茅場町植木店、真の江戸子が住んでいる所……....
「大きな蝙蝠傘」より 著者:竹久夢二
わ。ほら、よく薬売があんな大きな蝙蝠傘をさして来るでしょう。「本家、讃岐は高松千
金丹……つて歌って来るじゃないの」そう言って時子は、面白く節をつけて歌って見せた....
「おせん」より 著者:邦枝完二
の仲間でも、一といって二と下ったことのねえ手筋自慢。あっしゃァ質屋の質の字と、万
金丹の丹の字だけしきゃ書けやせんが、おせんは若旦那のお名前まで、ちゃァんと四|角....
「小説 円朝」より 著者:正岡容
んばんてんの違いがあらあ。 ひでえにもひどくねえにも、よく仲間がやる落語に「万
金丹《まんきんたん》」てのがあって、道に迷った江戸っ子二人、山寺へ一夜の宿を借り....
「巷の声」より 著者:永井荷風
う其の頃の情景もおのずから思合される。 薬を売り歩くものには、多年目に馴れた千
金丹を売るもの、定斎の箱を担うものがある。千
金丹を売るものが必手に革包を提《さ》....
「日和下駄」より 著者:永井荷風
はこねやま》山椒《さんしょ》の魚《うお》、または越中富山《えっちゅうとやま》の千
金丹《せんきんたん》と呼ぶ声。秋の夕《ゆうべ》や冬の朝《あした》なぞこの声を聞け....