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金冠
「金冠〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
金冠の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「虚構の春」より 著者:太宰治
って、はちまん様のまえで、飴《あめ》を買って食べましたが、私、そのとき右の奥歯の
金冠二本をだめにしてしまって、いまでもそのままにして放って置いてあるのですが、時....
「薤露行」より 著者:夏目漱石
るとき、身を半ば投げだして、行く人のために白き絹の尺ばかりなるを振る。頭に戴ける
金冠の、美しき髪を滑りてか、からりと馬の鼻を掠《かす》めて砕くるばかりに石の上に....
「母子叙情」より 著者:岡本かの子
思わせる、か細く丸く尖った顎を内へ引いて苦笑した。稚気を帯びた糸切歯の根元に細い
金冠が嵌っている。かの女は急に規矩男が不憫で堪らなくなった。かの女の堰きとめかね....
「自由画稿」より 著者:寺田寅彦
算をしておく必要があるのでおおよそ半月ほど毎日○○病院に通《かよ》った。継ぎ歯、
金冠、ブリッジなどといったような数々の工事にはずいぶんめんどうな手数がかかった。....
「十二支考」より 著者:南方熊楠
二人林中で蛇をあまた殺し行くと、ついに蛇の大団堆《おおかたまり》に逢い、逃ぐるを
金冠戴ける蛇王が追い去《はし》る。一人|振廻《ふりかえ》り斧でその頭を打つと、蛇....
「九月の或る日」より 著者:宮本百合子
共の耳にまで通った。 「あ、分っちゃった」 網野さんが首をちぢめ、例の小ちゃい
金冠の歯が光り、睫毛の長い独特の眼が感興で活々した。 「行きましたか? 近頃」 ....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
ろの特性は、今や忘れられてしまったのか。あるいは巧妙なる情熱的詭弁によって魔術の
金冠のうちに移されてしまったのか。彼はベアトリーチェをますます賞讃すべきものとし....
「海辺小曲(一九二三年二月――)」より 著者:宮本百合子
の悦びを 誰に伝えよう。 夜の来た硝子の窓には 背に燈火を負う私の姿が 万年筆の
金冠のみを燦然と閃かせ 未生の夢に包まれたように くろく 静かに 写って居る。 ....
「原爆詩集」より 著者:峠三吉
て ほほえんで きのう会社のひとが ちょうどあなたの 息子の席があったあたりから
金冠のついた前歯を掘り出したと もって来た お嫁さんと坊やとは なんでも土橋のあ....
「胚胎」より 著者:宮本百合子
後からヘンリー四世。 緋の外套に宝石の沢山ついた首飾りをつける。 栗色の厚い髪を
金冠が押えて耳の下で髪のはじがまがって居る。後から多くの供人。 王が大きい方の椅....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
いますから、一緒にお送り致しましょう。 歯のこともわかりました。市中ではみんな
金冠を使っています。一定量だけ各医院に配給されるのだそうです。 今読んでいるカ....
「柳原燁子(白蓮)」より 著者:長谷川時雨
召の一つ綿入れに、長じゅばんの袖は紫友禅のモスリン。五つ衣《ぎぬ》を剥《は》ぎ、
金冠をもぎとった、爵位も金権も何もない裸体になっても、離れぬ美と才と、彼女の持つ....
「かくれんぼ」より 著者:斎藤緑雨
秀吉|
金冠を戴きたりといえども五右衛門|四天を着けたりといえども猿か友市生れた時は同じ....
「二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
葬儀は染井墓地の信照庵に営まれた。会葬するもの数百人。権門富貴の最後の儀式を飾る
金冠|繍服の行列こそ見えなかったが、皆故人を尊敬し感嘆して心から慟哭し痛惜する友....
「髪あかきダフウト」より 著者:マクラウドフィオナ
人真先きに城に乗り入って、マルグヴェンが高い寝床に横たわっているのを見た、頭には
金冠をつけた儘《まま》で、ながい髪を金の輪で束ね、白衣の上に着ていた不思議な彫刻....