金剛杖[語句情報] »
金剛杖
「金剛杖〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
金剛杖の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「雪中富士登山記」より 著者:小島烏水
白い吹雪が大原の中を、点々と飛ぶ、大きく畝《う》ねる波系が、白くざわざわと、
金剛杖に掻き分けられて、裾に靡く、吹雪は野菊の花で、波系は芒《すすき》の穂である....
「槍ヶ岳第三回登山」より 著者:小島烏水
るので、足下を見ると、大きな穴があって、その穴の蓋の雪が、七八寸の厚さしかない、
金剛杖で敲くと、パリッと音がして、崩れ落ちる、穴の下では溶解した水が、渦を巻いて....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
めに来た参詣者かと見えて、月を踏んで帰途につこうとしている人たちらしい。旅の笠、
金剛杖、白い着物に白い風呂敷包みが、その薄暗い空気の中で半蔵の目の前に動いた。 ....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
しみに思った。また彼は勇気をふるい起こし、道を縦横に踏んで、峠の上で見つけて来た
金剛杖を力に谷深く進んで行った。ようやく妻籠手前の橋場というところまでたどり着い....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
蔵も禰宜の家の人たちに別れを告げて出た。彼が帰って行く山道の行く先には、手にする
金剛杖もめずらしそうな人々の腰に着けた鈴の音が起こった。王政第六の春もその四月こ....
「白峰山脈縦断記」より 著者:小島烏水
って、雷鳥を銃殺して、羽毛を※って、肉を料理する。 油紙の天幕の中に、私たちの
金剛杖を、三本組み合せ、それへ縄を下げて、鍋を吊り、偃松の枝や根を薪材にして、煮....
「谷より峰へ峰より谷へ」より 著者:小島烏水
らぎらと輝く、私たちは路を狭める籔を掻き分けて行く、笹の葉から、蛾が足を縮めて、
金剛杖の下にパタリと落ちた、それが灰のように軽かった。 岩魚止めの破れ小舎に、....
「不尽の高根」より 著者:小島烏水
衣を、間に合せに着て、歩いているのもある。宿屋の店頭には、かがり火をたき、白木の
金剛杖をたばに組んで、縄でくくり、往来に突きだしてある。やはり「山」で生活してい....
「神鷺之巻」より 著者:泉鏡花
時、羽織を、観世音の御堂に脱いで、着流しで扇を持った。この形は、さんげ、さんげ、
金剛杖で、お山に昇る力もなく、登山靴で、嶽を征服するとかいう偉さもない。明神の青....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
生。」 と、いうとともに、胆略も武勇もない、判官ならぬ足弱の下強力の、ただその
金剛杖の一棒をくらったごとく、ぐたりとなって、畳にのめった。 がんがんがんと、....
「星女郎」より 著者:泉鏡花
幅ったかろうと、緒だけ新しいのを着けたやつを、苛高がわりに手首にかけて、トまず、
金剛杖を突立てて、がたがたと上りました。約束通り、まず何事もなく、峠へかかったで....
「大江山」より 著者:楠山正雄
をかぶり、篠掛を着ました。そして鎧や兜は笈の中にかくして、背中に背負って、片手に
金剛杖をつき、片手に珠数をもって、脚絆の上に草鞋をはき、だれの目にも山の中を修行....
「ステッキ」より 著者:寺田寅彦
と思われる。シナの仙人の持っていた杖は道術にも使われたであろうが、山歩きに必要な
金剛杖の役にも立ったであろう。羊飼いは子供でも長い杖を持っているが、あれはなんの....
「怪異暗闇祭」より 著者:江見水蔭
どこの裏山で、抜き取った品物を出し合って勘定をしていたところへ、不意に現われて、
金剛杖のような物で滅茶滅茶です。三人もじっとして打たれるようなのじゃあありません....
「ながうた勧進帳」より 著者:酒井嘉七
に、僅かの笈一つ背負うて、後にさがればこそ人も怪むれ」 と、怒りの形相物凄く、
金剛杖をおっ取って、散々に打擲する。関守の富樫は、義経主従と看破してはいるものの....