金扇[語句情報] » 金扇

「金扇〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

金扇の前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
夜明け前」より 著者:島崎藤村
六日、将軍はついに征長のために進発した。往時東照宮が関ヶ原合戦の日に用いたという金扇の馬印はまた高くかかげられた。江戸在府の譜代の諸大名、陸軍奉行、歩兵奉行、騎....
雷峯塔物語」より 著者:田中貢太郎
生会を見ようと思って白娘子に話した。白娘子は新しい上衣と下衣を出してそれを着せ、金扇を持ってきた。その金扇には珊瑚の墜児が付いていた。 「早く往って、早く帰って....
縮図」より 著者:徳田秋声
んだけど、どこへ行ったんだか、お出先でも知らないというんでしょう。」 「あら、私金扇(鳥料理)からお客と涼みに行ってたのよ。」 そのころ日比谷や池ノ畔、隅田川....
雪之丞変化」より 著者:三上於菟吉
て見えるほど、明らかに昂奮《こうふん》して来た。膝に置いた、白い手先きが、小さな金扇を、ぎゅっとつかみしめて、息ざしが喘《あえ》ぐようだ。 「さあ、こちらへ――....
旅愁」より 著者:横光利一
は紊れぬ習い締った眼もとだった。鼓の音に乗り、鳥の子の襖を背に淀みなく廻っている金扇の流れを見ていても、矢代には、ともすると、それがAとBとの定律の舞いのように....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
役者でないことをよく知っている。そうしてこの際、采配を振るとは言うけれど、自分が金扇馬標《きんせんうまじるし》を押立てて本陣に馬を進めようというのではなく、表面....
丹下左膳」より 著者:林不忘
どく不《ぶ》意気な剣術のほうで、秋、銀杏の大樹の下に立って、パラパラと落ちてくる金扇《きんせん》の葉を、肘ひとつでことごとく横に払って、一つも身に受けないという....
蛇性の婬 」より 著者:田中貢太郎
て仏生会を見ようと白娘子に話した。白娘子は新らしい上衣と下衣を出してそれを着せ、金扇を持って来た。その金扇には珊瑚の墜児が付いていた。 「早く往って、早く帰って....
俳人蕪村」より 著者:正岡子規
千尺 夕顔のそれは髑髏《どくろ》か鉢叩《はちたたき》 蝸牛の住はてし宿やうつせ貝金扇に卯花画 白かねの卯花もさくや井出の里 鴛鴦《をしどり》や国師の沓《くつ》も....
私本太平記」より 著者:吉川英治
そんな道誉も、砂丘にのぼッて見送る女たちの白い手にたいしては、馬上から振向いて、金扇を開き、ひらひら愛想よくこたえながら次第に西へ遠ざかった。 柳営、執権御所....
フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
っとした短時間のことである。それがどうだろう。あの恐るべき饒舌の何の名残も、あの金扇や日の丸の朱も、チョビ髭も、サーベルも、金モールも、お一二の帽子も、何一つと....