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「金歯〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

金歯の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
」より 著者:芥川竜之介
り彼の狼狽《ろうばい》を感じた。のみならずこの一瞬間に彼の段鼻《だんばな》だの、金歯《きんば》だの、左の揉《も》み上《あ》げの剃刀傷《かみそりきず》だの、ズボン....
奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
た。 玄象道人は頭を剃《そ》った、恰幅《かっぷく》の好《い》い老人だった。が、金歯《きんば》を嵌《は》めていたり、巻煙草をすぱすぱやる所は、一向道人らしくもな....
点鬼簿」より 著者:芥川竜之介
同じだったであろう。唯僕の父だけは、――僕は僕の父の骨が白じらと細かに砕けた中に金歯の交っていたのを覚えている。……… 僕は墓参りを好んではいない。若《も》し....
婦系図」より 著者:泉鏡花
が、同じく申上げたろう、と通りがかりに睨むと、腰かけ込んだ学生を対手に、そのまた金歯の目立つ事。 内へ帰ると、お蔦はお蔦で、その晩出直して、今度は自分が売卜の....
爬虫館事件」より 著者:海野十三
が、それは後の話として、鴨田さんは園長の口をこじ開けるや、蟒の消化液では溶けない金歯をすっかり外して別にすると、もうこれで全部が溶けるものと安心して此の第三タン....
パンドラの匣」より 著者:太宰治
」 「恥ずかしい。」僕は、あっさりかぶとを脱いだ。「やいたんだ。」 マア坊は、金歯を光らせて笑った。 3 「僕、その手紙を読んだよ。」大いにとっちめ....
きりぎりす」より 著者:太宰治
いでになるようにおすすめしても、いいよ、歯がみんな無くなりゃあ総入歯にするんだ、金歯を光らせて女の子に好かれたって仕様が無い、等と冗談ばかりおっしゃって、一向に....
正義と微笑」より 著者:太宰治
にこにこ笑ってこっちを見ている。僕も笑った。 「何を読みますか?」瀬川国十郎が、金歯をちらと光らせて言った。 「ファウスト!」ずいぶん意気込んで言ったつもりなの....
貝の穴に河童の居る事」より 著者:泉鏡花
は夏帽の奴の持ものでしゅが、下手人は旅籠屋の番頭め、這奴、女ばらへ、お歯向きに、金歯を見せて不埒を働く。」 「ほ、ほ、そか、そか。――かわいや忰、忰が怨は番頭じ....
木の子説法」より 著者:泉鏡花
。ちゃら金が、碁盤の前で、何だか古い帳面を繰っておりましたっけ。(や、お入り。)金歯で呼込んで、家内が留守で蕎麦を取る処だ、といって、一つ食わしてくれました。も....
落ちてゆく世界」より 著者:久坂葉子
こんな話をしました。 「松川さんのところのおばあ様ね、まあ、御葬式の費用に仏様の金歯をはずしなさったそうな、いくらなんでもねえ、ひどい世の中になりましたよ」 「....
カストリ社事件」より 著者:坂口安吾
ネが一文もねえんだもの、アノコが千五百円とられやがんのさ。仕方がねえから、オレ、金歯ぬいて、売ったんだ。変だよ、なア。金歯だって、歯にくッついている限りは、やっ....
明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
そがれ、両眼がくりぬかれている。かいもく人相が分らない。一ツ残っている口の中には金歯というような都合のよいものはなくて、かなりムシ歯が多いが、特に特徴となるよう....
安吾人生案内」より 著者:坂口安吾
て戸のガラスを外しはじめれば、取りみだすのは当り前だ。躍りかかって首をしめて女の金歯を抜きとる方がもう少しユーモアがあるかも知れん。おもむろにカミソリをとりだし....
泡盛物語」より 著者:佐藤垢石
行ってくらあ」 あば辰は、こういってから樺太を顧みた。あば辰は、また大きな掌の金歯を握ったまま、往来を小走りに西の方へ向かって走りだした。樺太が、その後に従っ....